9.それでも迎撃能力を充実させるべきではないか?
意味がない。そもそも8.で述べたように探知能力がないに等しいのに迎撃能力を発揮することは不可能である。
▼イージス艦の現行のミサイル「SM3ブロック1a」は射程1,000km、次期の「SM3ブロック2a」は同2,000kmで、ミサイルが軌道の頂点に達してそこから慣性飛行に入るという高度550km辺りで撃ち落とすことを目指すが、今回の場合で言えば発射から5~6分後にはその頂点に達しているはずで、たぶん間に合わない。たまたま軌道の真下で待ち構えていて正対して発射すれば撃ち落とせないでもないらしいが、そうでなければほとんど不可能である。
▼これを補うため陸上配備の「イージス・アショア」を1機800億円で2機購入するという話が起こっているが、これも同じことで、全く無駄な買い物である。
▼イージスが撃ち漏らしたものは、PAC3が引き受けることになっていて現在34機の発射機が各4発の迎撃ミサイルを搭載して構えているが、これは射程20km(次期モデルで30km)、守備範囲も半径50kmと狭小で、つまりはたまたま設置場所に向かってきたミサイルを撃ち落とすことができるかもしれないというだけである。
以上は、単発で飛んで来た場合でもほとんど迎撃は不可能という話で、北が300発を保有しているノドンを同時多発的に発射した場合はまるっきり対処不能で、要は撃たれたらどうするかではなく、撃たれないようにするにはどうするかである。
10.ならば敵基地攻撃能力を持つべきではないか?
小野寺五典防衛相はそれを口にしているが、それは対外侵略行為であって憲法上許されない。それでもやろうということになったとしても、北のミサイルは山岳地帯のトンネル内に隠匿された移動式発射台に載せられていて、外に出して10分後には発射できる態勢を採っていると言われ、事前に察知することは不可能である。また潜水艦発射ミサイル(SLBM)の開発にも力を入れていて、これは全く探知不能である。
従って、せっかく敵基地攻撃能力を持ったとしても使いようがないのである。