先日、東方経済フォーラムに出席するためロシアを訪問した安倍総理。7日には19回目となる日露首脳会談が実施されました。しかし、それまでの話題には頷いて賛意を示していたプーチン大統領が一転、「北朝鮮問題」の話題になると無表情に。ロシアが北朝鮮問題に対して日米とは違う考えを持っていることの表れと見ていいのでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係研究者の北野幸伯さんが詳しく解説しています。
プーチン、北朝鮮問題を語る
皆さんご存知のように、安倍総理は9月7日、ウラジオストックで、プーチン大統領と会談しました。日ロ関係のこともありますが、やはり気になるのは、「北朝鮮問題」ですね。どうだったのでしょうか?
産経新聞9月8日を見てみましょう。
日露首脳会談でプーチン氏の振る舞いが一変したのは、首相が北朝鮮の話題を取り上げた瞬間だった。
「北朝鮮の問題を含め、地域の平和と安定に貢献するために話し合いたい」
首相がこう語りかけると、プーチン氏は頬に手を当てて無表情になった。経済協力などの進展を評価する首相の言葉には、うなずいて賛意を示したのとは正反対だった。
プーチンは、「無表情になった」そうです。「北朝鮮の話はしたくないぜ」ということなのでしょう。
北朝鮮をめぐる日露の溝は大きい。さらなる対北圧力を求める日本に対し、ロシアは制裁強化に消極的な姿勢を示す。
(同上)
日本は、アメリカと共に、圧力を強化したい。ロシアは、これに反対。
首相は会談に先立つ東方経済フォーラムで、核実験がウラジオストクから約300キロの地点で実施されたことを指摘し、ロシアにとっても脅威であることを強調して翻意を促した。だが、プーチン氏は会談後の共同記者発表で「核問題の解決は政治・外交的手段によってのみ可能だ」と言い放った。
(同上)
安倍総理の「核実験はロシア国境から近い」「ロシアにとっても脅威」というのは、ほとんど説得力がありません。
プーチンは、「核問題の解決は政治・外交的手段によってのみ可能だ」と言い放った。もっと具体的にいうと、日本は、アメリカと共に「北朝鮮への石油禁輸措置」を目指しています。昔の「ABCD包囲網」を思い出させますね。プーチンは、これに反対しました。ここまでのプーチンの反応、RPEの読者さんで驚いた人は一人もいないでしょう。