以前掲載した「古都のグルメ。京都ツウが全力でオススメする「定番本場の味」10選」では、京都がラーメン激戦区であるという意外な一面をご紹介しましたが、今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者で京の都に造詣が深い英学(はなぶさ がく)さんが、京都のきつねうどんまつわる「おもろい話」を披露しています。
京都のきつねうどん
京都で麺類と言えば、ラーメンかうどんというイメージでしょうか。学生の人口密度が日本一高い京都市には美味しいラーメン屋さんが沢山あります。でも今日は京都のうどんの話をしたいと思います。中でもきつねうどんにまつわるおもしろいお話をご案内します。
京都のうどんの醍醐味はなんといっても出汁。京料理とともに発達してきた、カツオと昆布の風味を利かせた薄味の出汁は絶品です。うどんは細めで、もちっとした食感で優しい味で透き通った出汁とのコンビはまさに絶妙と言った感じ。まさにこれを京うどんと呼ぶのでしょう。
そんな京うどんを食べに京都のうどん屋さんに行くと、私は決まってきつねうどんを頼みます。甘辛いお揚げが透き通ったスープに載ったうどんは関東では食べられないので必ず京都に行くと頼みます。この京都のきつねうどん、実はある伝説があるのです。
きつねうどんは明治時代に、大阪の「松葉屋」というお店で始まったそうです。関西ではきつねは伏見稲荷大社の神の使いとされていています。きつねの好物である油揚げが載っているうどんは縁起のいい食べ物とされてきました。そのためきつねの名前がついた「きつねうどん」も縁起が良いということで、京都でも人気があります。
2つのきつねうどん
きつねうどんは、通常甘い味が染みこんだ四角い油揚げが載っているうどんのことですよね。しかし京都には2つの種類のきつねうどんがあります。「甘ぎつね」と「刻みきつね」と呼ばれるものです「甘ぎつね」はいわゆる、普通のきつねうどんです。「刻みきつね」は、甘い味がついていない短冊状に細く刻んだ揚げが載ったうどんです。
この「刻みきつね」は京都ならではといったご当地メニューです。なぜこのようなきつねうどんが京都で食べられるようになったと思いますか? それは舞妓さんが食べられるようにです。おちょぼ口で食べないといけない舞妓さんが食べやすいようにということで出来たメニューです。揚げを小さく刻んだ理由は舞妓さんのためだったんですね。お店できつねうどんを注文すると、普通の「甘ぎつね」が出てきます。
ちなみに京都のたぬきはきつねにあんがかかったあんかけうどんです。きつねが「ドローン」と化けるからだそうです(笑)。おもしろいですよね~。底冷えする京都の冬にはあんをかけて食べる料理は欠かせません。