時を同じくして、介護現場での虐待報道が相次ぎ、私が出演していた番組では「介護現場の人たちの声」を収録。そこに寄せられたのが、以下のコメントです。
- 「株価が2万円になって賃金上がって大企業はいいのかもしれないけど、残りの小さい事業所は苦労している部分がたくさんある」
- 「介護報酬ができたときは、もうちょっといい金額が出ていたのに、徐々に下がってきていて、減る一方なのかなぁ~って」
- 「介護職が虐待するっていうニュース……あってはならないことだし、絶対あっちゃいけないんだけど……。誰にでも、実はそういう事件を起こしてしまう立場にあるんだなぁって……常に思う」
- 「介護を必要とされている方の年齢が変わってきている。年代が下がってくると、お金は出してるからこれくらいのサービスはしてもらって当たり前って感じがあって。ご家族からも、『どうしてできないの?』というような要望が強い感じはある」
etc,etc
現場の方たちは極めて冷静かつ客観的に答えていましたが、語られる言葉の合間からは「もっと賃金上げてよ!」「人手が足りなくてイライラする気持ちもわかってよ!」という悲鳴が聞こえてきました。
「大切な親に最後まで笑顔でいてほしければ、金を出せ!」と。
今年の4月からは、介護労働者の賃金が月額1万円引き上げられることになりましたが、こんなの「スズメの涙」でしかない。
だって、そもそもの賃金が安過ぎるのです。
福祉施設の介護員の月給は、常勤で21万9700円、訪問介護員(ホームヘルパー)は22万700円で、全産業平均の32万9600円より約11万円も低い。介護計画を作るケアマネジャーも26万2900円と全産業平均を下回っている。
その結果、
低賃金のため応募がない⇒ 低賃金で重労働だから辞める人が多い⇒ 更なる人手不足⇒ ストレスがたまる⇒「………」
という悪循環が繰り返される始末です。
今回、NCCUは協定に、アンガー・マネジメント(怒っても感情に流されない方法)の教育や、虐待に関する職員からの相談や通報への窓口を社内外に設置するこを盛り込みましたが、「増員に関する項目」は入れていません。
おそらく「入れたかった」でも、「入れられなかった」のだと思います。
つまり、企業の努力ではどうにもならない。国の問題、だと。介護事業は7割が人件費なので、介護報酬を上げないことには、どうすることもできないのではないでしょうか。