日本が「従業員のための会社」から「株主のための会社」に変化したワケ
ところが高度成長期の途中で、日本はアメリカの制度を中途半端に学び、プロ野球では契約金やトレード、会社でも労働契約と就業規則などに縛られたお金が先に来る仕事のやり方に変わりました。
さらに最近では「**ホールディング」という聞き慣れない会社が出現し、その下にこれまで良く名前を聞いていた大会社が従うというシステムが横行しています。
この「ホールディングス」というのは「株を保有して会社を支配する」組織という意味で、日本の社会にとっては「従業員のための会社」から「株主のための会社」に変わっていったのです。それに加えて会社にお金を貸す銀行の資本のかなりの部分が外資ですので、うっかりすると「外国資本のための従業員の努力」になりかねません。
しかし、まだ日本は完全に株主優先まで行っていません。私が関係している会社でも「昔型の日本の会社」で、つねに「従業員のため、従業員の幸福のため、定年後も同じ仲間」という意識で経営されています。それが日本が世界の産業の競争で圧倒的な勝利を収めた原因でもあります。
株主優先の考え方が近代的だとされていて、その流れは変わらないように思われていますが、日本より劣った国のシステムを日本が学ぶ必要は無いので、少しずつ考え直されると思います。
たとえば、一時は今後の流れとして定着しつつあったグローバリゼーションは、トランプ大統領の出現やイギリスのEU離脱などによって半年余りで大きく方向が変わり、最近では「国家主義」の方が近未来の方向だと言われてきています。
人間の社会はそこにいる人間の幸福のために活動をしているのであって、お金はそのための一つの道具に過ぎません。それが逆転して「お金のために人間が奴隷のように働かされる」という制度が正しいはずはないのです。(つづく)
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