先日掲載の記事「311以降、徹底的に脱原発に舵を切ったドイツと当事国・日本の違い」では、東日本大震災以降も日本の脱原発が進まない裏事情が明かされましたが、お隣韓国では文在寅大統領が脱原発時代を宣言し話題となっています。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住の著者が、文大統領が推し進める「脱原発」の現状について現地からレポートしています。
韓国、脱原発宣言
韓国は、文在寅大統領になってから、脱原発宣言という輝かしい歩みを始めた。
6月19日、文大統領は、釜山の機張郡(キヂャングン)というところにある古里(コリ)原発の第1号機の永久停止記念行事に出席し、「原発新規建設計画を全面白紙化する」と語り、脱原発時代を宣言した。これと共に、新再生エネルギー産業を積極的に育成するという意志を改めて強調した。これをうけて、新再生エネルギー関連株が軒並み上昇しているという流れもあった。
脱原発をしてからの今後の具体的な歩みは、まだ明確ではない。しかし重要なことは、「まず」脱原発の宣言をすることであろう。そういう意味では、新大統領は、確固たる脱原発の意志をもっているため、今後大きな期待ができるものと思われる。日本は、この点でちょっと遅れをとってしまった格好だ。
ただ問題も山積している。6月27日にはシンゴリ5、6号機の建設工事を一時中断するという発表があった。政府は頭ごなしに「中断」などと言っているが、現地の住民(作業者なども含めて)にしてみれば、突然仕事の口がなくなるわけで、生活ができなくなり路頭に迷うという現実と向き合うことになるのだ。
これを書いている筆者は、脱原発大賛成論者だけど、青天の霹靂のような突然の「中断」発表には「???」と言わざるをえない。で、7月13日(木)の午後3時から、工事の中断か続行かを決定する韓国水力原子力の理事会が開かれる予定だったが、労組や地元住民たちの理事会反対(建設続行派)デモのため、理事会の不開催が3時40分に発表された。
これで、「建設中断」のお墨付きがまだ出されないものとなった。それだけ、地元住民や原発労組などの「続行派」の勢力が強いのである。と思いきや、7月14日(金)。韓国水力原子力の理事会が慶州のあるホテルで突然開催され、シンゴリ5、6号機の建設中断を決めた。労組など地元民も含めて激しく抗議している。しかし建設は一時、たぶん3か月ほど中断される見通し。3か月後、また会議を開いてその後のあり方を討議することになっている。