一方の日本政府は、ひと昔前までは、厳しい排ガス規制で適切な進化圧をかけて日本の自動車メーカーを育てて来ましたが、(この記事によると)今や新車の7~8割が「エコカー」減税の対象になってしまったほど、だらしないそうです。せっかくの「進化圧を与える道具」が、単なる「日本の自動車メーカー支援」に成り下がってしまったのです。
本来ならば、電気自動車へのシフトを加速すべく、強い進化圧をかけるべきタイミングですが、これまで官民一体となって「水素社会を作る」話を進めて来た手前、日本のメーカーの(電気自動車へのシフトの)準備が出来るまでは急速な舵取りは出来ない、というのが現状であり、それがますますシフトを遅らせる結果となっているのです。
私はテスラの Model X を去年の12月から毎日のように運転していますが、一度電気自動車の素晴らしさを知ってしまうと、二度と普通の車には戻れません。静かで清潔で、ガソリンスタンドに行く必要も、オイル交換も定期点検も必要なく、かつ、運転のしやすさが格別(重心が低く、加速性能が高い)なのです。
さらにそれにオートパイロット機能がついているのですから、まさにこの違いは、ガラケーとスマートフォンの違いに匹敵します。テスラがModel 3 の生産能力を大幅に引き上げ、同時に、中国政府による進化圧で育てられた電気自動車ベンチャーが世界に乗り出してくるだろう2018年~2020年は、自動車業界にとって激動の年になると私は見ています。
(中島聡『週刊 Life is beautiful』より一部抜粋、毎月必ず読みたい方はご登録ください。初月無料です)
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