中国の覇権主義や北朝鮮の脅威など様々な緊張が高まる東アジアにあって、変わることのない固い絆で結ばれている日本と台湾。先日発表された平成27年度の「日本の高校生の修学旅行先ランキング」では、台湾がアメリカを抜き第1位となりました。この結果を受け「喜びを隠せない」とするのはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄さん。黄さんはまた、高校生たちが台湾グルメといった分かりやすい視点で日台関係を知っていけば、両国の絆はもとより「戦争」にまつわるより深い事象にまで目を向けることが可能になると記しています。
【日台】日本の高校生にも人気の台湾の魅力~台湾の人気B級グルメを通して見る日台の絆
今年、日本の高校生の修学旅行先ランキングで上位に入ったのは台湾でした。不動の人気を誇るアメリカと肩を並べての人気ぶりに、私を含めた台湾関係者たちは喜びを隠せませんでした。
では台湾のどこが高校生に人気なのか。人気要因は様々ありますが、若い子にとってはやはり台湾のB級グルメが魅力的なのではないでしょうか。夕方から開かれる夜市にひしめく屋台料理です。
日本には夜市という文化がありませんが、アジア諸国では日常的な風景です。フライドチキンや海鮮料理などのがっつり系から、タピオカ飲料やかき氷などのデザート系まで様々な屋台が、狭い路地にひしめきあっています。
もちろん衣類やシューズなどのファッション系も揃っています。週末ともなれば大勢の人が集まるため、狭い路地は常に大渋滞しており、思うように歩けませんが、食べ物片手に左右に並ぶ屋台を眺めながら人波に身をまかせて歩くのも、また夜市の楽しさなのです。
そんな屋台料理の中には、日本統治時代の名残を感じさせるものがいくつかあります。まずは「甜不辣」、つまり「てんぷら」です。台湾で言う「てんぷら」は、「さつまあげなどを煮たもの」で、特性のミソダレをつけたりもしますが、味が染み込んでいてとてもおいしいさつま揚げです。今でも九州地方では、さつまあげのことを「てんぷら」と言いますが、日本統治時代になんらかの理由で九州の方言が台湾に残ったのでしょう。
台湾では「おにぎり」や「寿司」も普通に売っていますが、これらに使われている米も日本統治時代と深い関係があります。日本統治時代、台湾総督府の技師及び大学教授として招聘された磯永吉という人物は、当時、インディカ米が主流だった台湾で、日本米と同様の米を作ろうと研究を重ねました。
そして、ついに品種改良に成功しました。「蓬莱米」と命名されたこの米は、台湾の気候と風土に合った育成方法で栽培され、その後の米の安定供給に大きく貢献したのです。磯永吉は、戦後も台湾に残り、台湾の農作物の改良と安定供給に尽力し続けました。今では台湾の米の産地といえば台東にある池上が有名です。