「肉の食べ過ぎは危険」「加工肉は良くない」などの声は巷間よく聞こえてきますが「健康オタクの戯言」と聞き流すのは早計かもしれません。ハムやソーセージなどの「加工肉」の危険性について、日本人にはあまり影響がないとする報道もありますが、実際のところはどうなのでしょうか? 今回のメルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』では、著者で現役医師の徳田先生が食肉の健康被害について根拠を明らかにしています。
死に至る食肉
“Laws are like sausages, it is better not to see them being made.” 「法律はソーセージに似ている。製造過程はみないほうが良い」
これは「鉄血宰相」といわれたビスマルク(ドイツ)が述べたことわざです。見た目がキレイで美味しそうなソーセージは、ジャンク(くず)の様な肉や内臓を粉々にして、さまざまな化学物質を注入し、細長い棒の様な形のものに詰め込まれてあの様な完成品となります。立派な文章で書かれた法律も、利害関係の調整や取引などを経て完成されます。その過程にはドロドロとした密室のやりとりがあるのです。
ソーセージの製造過程を見たビスマルクは、マズそうなジャンク肉が、美味しそうな形と色の食品に変化していくことにびっくりしたのでしょう。ソーセージに害がなければ、確かにビスマルクの言うように、製造過程を見たり、問題にしたりする必要はないはずです。
しかしながらソーセージはカラダに悪い。ソーセージやハム、ベーコン、スパムなどの加工肉や牛肉や豚肉の赤肉を多く食べる人は早く死にます。このような研究結果が明らかにされつつあります。早期死亡の原因は、がん、糖尿病、そして心臓や血管、肝臓の病気などでした。
加工肉がカラダに良くない主な理由としては亜硝酸などの添加物の影響が挙げられています。また、赤肉の影響は、筋肉の赤い色素(ミオグロビン)に含まれているヘム鉄によるものと考えられています。一方で、亜硝酸添加物が含まれていない魚の摂取が多い人では長く生きる傾向を認めました。
しかしながら、赤肉や加工肉の有害物質はそれらだけではありません。これらの肉を食べると体内で発がん物質であるニトロソアミンがつくられます。また、これらの肉に含まれるカルニチンは腸内細菌によって分解されて大腸がんを起こす物質となります。