共働きの夫婦が「共働き」しすぎると、貰える年金が減ってしまう話

shutterstock_103968878
 

今のご時世、「共働き」が当たり前となりつつありますが、夫婦ともに20年以上厚生年金に加入していると、思わぬ損をしてしまう可能性があることをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では、著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、意外と知られていない「配偶者加給年金」の落とし穴について解説しています。

自分はまだ65歳じゃないのに年金貰い始めたら配偶者の年金が月額32,000円程減ってしまった!?

今までよく年金額計算で登場してきた配偶者加給年金という、65歳未満の生計維持している配偶者が居るとオマケで年金額が38万9,800円(平成29年度価額)アップする有難い制度があります。月額に直すと3万2,483円。

以前のメルマガでも厚生年金期間は20年以上を目指しておくと配偶者加給年金が貰えるようになるから、できれば20年を目指しましょうという話をしました。

ただし、そんな配偶者加給年金は配偶者自身が厚生年金期間や共済組合期間が20年以上ある年金を受給できるようになると停止されてしまいます(平成27年10月からの改正で厚年と共済合わせて20年以上の年金を貰うようになると停止になる)。つまり、夫婦共に厚生年金期間が20年以上の期間分の年金を貰えると配偶者加給年金が貰えなくなってしまうわけです。

でも一方が1ヶ月少ない19年11ヶ月分の年金を貰うなら配偶者加給年金は全く停止されません。たった1ヶ月の年金記録の違いで夫婦の年金総額がガラッと変わる場合があるのでその辺を今回は見ていきましょう^_^

というわけで事例。65歳前から支給される厚生年金は特別支給の老齢厚生年金と呼びますが、この記事では老齢厚生年金で統一しています。

1.昭和27年6月7日生まれの夫(今月65歳)

この夫は支給開始年齢である60歳から老齢厚生年金年額120万円支給されてるものとし、その老齢厚生年金には65歳から更に配偶者加給年金38万9,800円が加算されるものとします(65歳誕生月の翌月分から配偶者加給年金が加算)。

65歳になったから、老齢基礎年金も貰える(金額はとりあえず75万円とします)。

よって65歳以後の年金総額は老齢厚生年金120万円+配偶者加給年金38万9,800円+老齢基礎年金75万円=233万9,800円月額194,983円)。

一方、妻の年金。

2.昭和37年10月22日生まれの妻(今54歳)

ちなみに、60歳の前月は平成34年9月(ここまでは国民年金に強制加入になる)。年金記録は20歳になる昭和57(1982)年10月から平成2(1990)年5月までの92ヶ月未納。

平成2(1990)年6月に結婚してから平成17(2005)年1月までの176ヶ月間は夫の扶養に入り、第3号被保険者として国民年金保険料を支払わなくても国民年金保険料納付済扱いだったとします。

平成17年2月から平成37年1月までの240ヶ月(20年)厚生年金。この240ヶ月間の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)を合算した金額の平均値(平均標準報酬額)を25万円とします。

この妻の生年月日から見ると、厚生年金の支給開始年齢は63歳(2025年である平成37年10月に受給権発生)。

厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

63歳から貰える老齢厚生年金(報酬に比例する部分の年金)は25万円÷1,000×5.481×240ヶ月=32万8,860円

そして、夫に付いてる配偶者加給年金38万9,800円は妻が63歳の翌月分(平成37年11月分)から停止されます。

すると夫婦の年金総額は妻が老齢厚生年金が貰える63歳を迎えた後は、妻が65歳になるまで夫の年金(233万9,800円-389,800円)+妻の老齢厚生年金32万8,860円=227万8,860円月額189,905円)となりました。

なんと、夫1人分だけの年金が支給されていた時よりも年金収入が減ってしまいました(^^; 配偶者に厚生年金期間が20年以上の厚生年金が受給できるようになった場合は配偶者加給年金が停止になってしまうんですね。

print
いま読まれてます

  • 共働きの夫婦が「共働き」しすぎると、貰える年金が減ってしまう話
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け