プルトニウムの恐怖
【東京】は1面トップに2面の解説記事「核心」、27面社会面まで。見出しから。
1面
- 作業員4人 内部被ばく
- 大洗・原子力機構事故
- プルトニウム 2.2万ベクレル 最悪レベル
- 体の中から放射線浴びる
27面
- 黒い粉 突然飛んだ
- 被ばく事故 「防止設備内 なぜ」
uttiiの眼
1面記事には、被ばくした5人のうち、2人が機構の職員で、残る3人は協力会社の従業員であることが記されている。27面の記事を見ると、直接の作業を担当した50代の男性は機構職員であったことが分かる。他紙も、被ばくした50代の男性については「職員」と一様に記しているが、他の4人も全員機構職員であるような印象になっている。協力会社従業員の存在に明示的に触れたのは《東京》のみ。
2面「核心」はプルトニウムの恐ろしさを強調する内容。今回、作業員の男性が吸い込んだのは、0.01ミリグラムほどのプルトニウム。たったそれだけで、確実にガンのリスクが上昇する年換算100ミリシーベルトの10倍以上のリスクを負ってしまったことになる。プルトニウムが万年単位で放出し続けるアルファ線はガンマ線やベータ線と比べて重く、遠くへは飛ばないが、近くの細胞を傷つける力が強いという。だからこそ、「吸い込むと厄介」ということになる。大きな事故だったということだ。
あとがき
以上、いかがでしたでしょうか。
まるで、浦島太郎のお話のようだと思いました。
浜に戻った太郎が、竜宮城で享楽のために使ってしまった「時間」の請求書を突きつけられたのは、禁を破って「玉手箱」を開けてしまったからですが、今回、気の毒な作業員が作業の一環として開け、不幸にして被ばくしてしまったのは、いわば膨大な核エネルギーを取り出してしまったのに支払ってこなかった私たち全員の借財を、彼らを身代わりとして受け取らせてしまった、そんな意味があったのではないでしょうか。同じ「玉手箱」は、まだまだ山のようにあるわけですね。日本中の原発や六ヶ所村再処理工場に集められた廃棄物を含めれば、私たち全員に請求書の「玉手箱」が突きつけられている。そして、この「玉手箱」を開けなければならないときが必ずやってくる。気の重いことです。
image by: WikimediaCommons(今井智大)