阿部寛、黒木華も驚愕。84歳仲代達矢のセリフ完全暗記の秘密

2017.06.03
by ニシム(MAG2 NEWS編集部)
nakadai0603
 

小林政広監督の長編16作目となる映画『海辺のリア』6月3日公開された。
この公開を記念してテアトル新宿にて初日舞台挨拶が開催され、桑畑兆吉役の仲代達矢、伸子役の黒木華、兆吉の弟子役の阿部寛、長女・由紀子役の原田美枝子、監督の小林政広が登壇した。

本作の主人公、桑畑兆吉を演じた仲代達矢が入場すると、満席の観客はスタンディングオベーションで出迎えた。仲代は「私自身、撮影当時84歳、世に言う後期高齢者でして、今回は同年齢の役でした」と笑顔でコメント。小林監督は「主演をお願いした後に仲代さんは文化勲章を受賞された。そんな方に本当にこんな(認知症の)役をやっていただいていいものかと悩んだ。この映画は皆さんのもの。いろんな解釈があると思う」と語った。

仲代達矢、渾身の直筆台本に込めた本気

阿部は「自身も50歳を超えたが、台詞覚えがきつくなっている先輩俳優の方々を見て、自分もそうなっていくのかと悲観的に思っていた。ところが、仲代さんははるか上の84歳。長台詞は正直無理だと思った。しかし、仲代さんは直筆で台本を書くというものすごい努力によって、20〜30ページの膨大な台本を、一字一句間違えずに眼の前で見事に演じられました。それを見て、僕自身将来に明るい希望が見えました」と仲代の努力を称賛した。

直筆で書かれた台本

直筆で書かれた台本

黒木も「撮影中、仲代さんとはずっと近い距離でした。目の中に、沢山の経験と人間性が渦巻いている感じで、吸い込まれそうに素敵でした。私もこれからいろんな役を経験し、仲代さんのような深みのある演技ができたら」と語った。

それに対し仲代は「普通、演技はキャッチボール。しかし今回黒木さんは、何を言われても『どちらさん?』としか言わない認知症の兆吉に対し、一方通行に話すという非常に難しい演技をしなければならなかった。それを見事に新鮮に演じられていて感心した」と絶賛。「昔は50を過ぎたら若い人のために老人を山に捨てていくと文化があった。現代も、少子高齢化が社会問題となり、老人が邪魔にされているような気がする。でも、そんなことない、老いもまたよきかな、です」と語った。

フォロアー36,000人。初挑戦のTwitterが話題に

本作は小林監督の前作・前々作と並び「三部作」とも称されているが、今後の作品について聞かれると小林監督は「シャイニングのジャック・ニコルソンみたいな悪役はどうですか」と仲代に提案。仲代は「ちょっと恐ろしすぎますよ!」と返し、会場が笑いに包まれた。

舞台挨拶の最後に仲代は、公開前から話題だったTwitterアカウント仲代達矢84歳、ツイッターはじめました。」について「84歳の独居老人に、いきなり何百人何千人もお友達ができました。『映画みてください』というのが恥ずかしかったので、『こんにちは〜』とかつぶやいていました」とはにかみながらコメントした。

仲代達矢の話題のツイートまとめ

 

あらすじ

半世紀以上のキャリアを積んだ大スター・桑畑兆吉(仲代達矢)。人生の終盤を迎えスターだった栄光も今は昔、認知症の疑いがあり、家族に半ば騙されるように高級老人ホームへと送り込まれる。しかしある日、兆吉は施設を脱走し、何かに導かれるように海辺を彷徨う。そこで偶然、妻とは別の女に産ませた娘・、伸子(黒木華)と突然の再会を果たす。伸子に「リア王」の最愛の娘・コーディーリアの幻影を見た兆吉。兆吉の身にも「リア王」の狂気が乗り移る。かつての記憶が溢れ出したとき、兆吉の心に人生最後の輝きが宿る―。
今や見る影もないかつてのスターと、そこに深く関わる者たちの感情が強くぶつかり、揺れ動く。

会場ロビーでは、仲代達矢の直筆台本が展示されているほか、映画のロケ撮影場所・石川県の「特上加賀棒ほうじ茶」を飲むことができる(320円・税込)。

会場ではロケ地のご当地ほうじ茶が飲める

会場ではロケ地のご当地ほうじ茶が飲める(320円・税込)

『海辺のリア』
公式ホームページ
©海辺のリア」製作委員会

文/トモニシ

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