あずきバーの井村屋が、寒い冬にアイスクリームで最高益を出せた訳

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大ヒット商品「あずきバー」で知られる井村屋の業績が好調なようです。アイスクリームが売れる夏はともかく、なぜ同社は鈍化する「冬の売り上げ」をアップさせることができたのでしょうか。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、その秘密を探ります。

あずきバーで有名な井村屋の「やわもちアイス」が大ヒットした理由

ようかん、あずきバー、肉まん・あんまんで有名な井村屋の業績が好調です。2017年3月期の連結決算は、売上高が前年比8.7%増の419億円、最終的なもうけを示す純利益60.9%増の7億円で、いずれも過去最高を更新しました。

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アイス事業が好調で、前年比15.5%増の133億円です。その中でも「やわもちアイス」シリーズが好調で、57.2%増の34億円です(やわもちアイスの売上高情報は井村屋グループ提供)。「あずきバー」シリーズは、24年ぶりに約10%の値上げを行ったにもかかわらず、売り上げ本数が3.2%増加しました。

やわもちアイスシリーズは、冬でも美味しく食べられるアイスの新商品として2012年に発売しました。井村屋の独自技術で、冷凍下でもやわらかいもちと、つぶあん、アイスの3層で構成される新感覚のスイーツです。カップタイプと最中タイプのものがあります。2016年の9月末までの集計で累計販売個数が1億個を超える大ヒット商品です。

やわもちアイスシリーズは「逆転の発想」で生まれました。井村屋のアイスは夏に売り上げが伸び、冬は鈍化する傾向があります。例えば、井村屋の2016年度のアイス事業の売上高の構成比は、夏の7~9月が42.4%で半数近くを占めています。気温が低下する10~12月では16.7%に低下し、1~3月では13.3%にまで落ち込みます。

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一方、やわもちアイスは目論見通り冬でも売れています。2016年度の7~9月の売上高の構成比は31.8%とそれほど高くなく、10~12月は24.5%、1~3月では16.8%で、アイス事業の中で冬でも売れていることがわかります(やわもちアイスの売上高構成比の数値は井村屋グループ提供)。

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