しかし、これに対して警戒心をあらわにしているのが韓国です。朝鮮日報は「朝鮮半島危機に乗じて軍事活動活発化」と、いかにも批判するような見出しを掲げて論じています。
もともと韓国のメディアは、ここ数週間、日本が朝鮮有事に対して警戒することを「騒ぎすぎ」と批判してきました。
ハンギョレ新聞は、韓日本大使館が4月1日に在韓日本人への「安全マニュアル」に待避施設情報を追加、11日には「海外安全ホームページ」に「朝鮮半島情勢に関する情報に注意すること」と書き加え、韓国内の日本人学校にも注意要請Eメールを送るなどの対策を講じていることを伝えています。
また、稲田朋美防衛大臣の「自衛隊が韓国内の日本人を救出することもありうる」、石破茂元幹事長の「ソウルは火の海になるかもしれない」という発言を批判的に紹介しています。
ハンギョレ新聞は、20万人の自国民が韓国に居住するアメリカでも特別な動きは見られないのに、日本が大げさに騒ぐのは、朝鮮半島危機説を煽って、自衛隊の武装強化と敵基地攻撃能力保有を狙っているためだと論じています。また冒頭の朝鮮日報も同様のニュアンスを匂わせています。
しかし、在韓米軍は、6月にも民間人の海外避難訓練を実施することを決定しています。在韓米軍も朝鮮有事に備えていることは明らかでしょう。
4月29日には、北朝鮮がミサイルを発射したことで、東京の地下鉄が一時的に停止となりました。たしかに少し大げさな部分はあります。
しかし今年の3月17日には、3・11東日本大震災の原発賠償訴訟において、「巨大津波は予見できたはず」ということで、国と東電に対して賠償命令が出され、リベラルメディアも「画期的な判決」と礼賛したように、0.1%でも可能性がある場合にそれに対応しなければ、行政の不作為として責任が追求されるのが現在の日本です。