安倍総理と会談、プーチンは「北朝鮮問題」をどう捉えているのか?

kitano20170501
 

先日、ロシアを訪問した安倍総理。プーチン大統領との会談では、北方領土での共同経済活動の実現のために5月にも特別調査団を派遣すること、航空機を使用した元・島民の墓参りの実施などで合意したと発表されましたが、気になる「北朝鮮情勢」についての話し合いは持たれたのでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんが、変化しつつある日ロ関係と、北朝鮮問題に対するプーチン大統領の立ち位置を分析しています。

安倍総理訪ロ、プーチンと何を話したの?

皆さんご存知と思いますが、安倍総理は4月27日モスクワでプーチンと会談しました。何を話したのでしょうか?

まず、日ロ関係のこれまでを、簡単に復習しておきましょう。安倍さんが総理に返り咲いたのは、2012年12月。総理は、「私が北方領土問題を解決する!」と強い意欲を持っておられる。それで、安倍さんが総理になられた途端、日ロ関係はものすごい勢いで改善されていったのです。

しかし、2014年3月の「クリミア併合」ですべてが変わってしまいます。日本は、アメリカ主導の「対ロシア制裁」に参加した。日ロ関係は、もちろん悪化しました。その後も、日ロ関係はどんどん悪化し続けていきます。なぜ?

制裁に参加した日本は、ロシアと経済協力の話ができなくなった。それでも、いろいろな次元で、日ロの閣僚や官僚が会うことがある。すると日本側は、「島いつ返してくれますか!?」と、毎回開口一番言う。ロシア側は、「日本はロシアに制裁していながら、『島返せ!』とは、どこまで自己中心なのだ!」と非常に憤っていたのです(強調しておきますが、これは、「ロシア人が憤っていた」という話です。私、北野の個人的意見ではないので、クレームしないでください)。

たとえば、メドベージェフ首相は15年8月、択捉島を訪問した。それで、日本政府が抗議した。すると、ロゴジン副首相は、ツイッターに、「(日本人は)ハラキリして落ちつけ!」と書いた。「なんという無礼な副首相…」と思いますが、ロシア政府高官の日本に対する苛立ちは、こんな感じでした。「制裁しつつ、ちゃっかり『島返してよ!』といっても、無理だよな……」。

この当たり前の事実に日本政府が気づいたのは、16年5月のこと。ソチでプーチンに会った安倍総理は、「8項目の協力計画を提案。「お! 今回は、金儲けの話を持ってきたか」。ロシア側は、日本の変化を敏感に感じ取りました

そして、プーチンが2016年12月に来日。これをきっかけに、日ロ関係は大きく好転しています。なんというか、「生活レベル」で「日ロ関係改善」を感じるのです。たとえば、カフェに座っていたら、70歳ぐらいの知らないおばあさんが、「私もうすぐ日本にいくのだけど、質問してもいいかしら?」と話しかけてくる。

娘が今年9月に入学する予定の小学校の校長先生が、突如「日本視察団」に招待される。戻ってきた校長先生は、私の妻に、「日本自慢」を一時間ぐらいしていました。「生物学博物館」で、「日本に行ってきた報告会」があり、招待される。テレビをつけると、「日本のリサイクル技術は、ロシアより少なくとも30年は進んでいる」と褒めている。

とにかく「あらゆるところで日ロ関係がよくなっているのを感じます。これも、安倍総理の「決断のおかげですね。

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