若者を中心とした「アルコール離れ」が顕著とも言われる中、急速に需要を伸ばしているのが「ちょい飲み」市場です。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、牛丼店・コンビニ・ファミレスなど、居酒屋ではない業態でありながら「ちょい飲み」の波に乗り業績を伸ばしている企業を紹介しつつ、その裏で苦境に立たされている居酒屋の今後についても考察しています。
「ちょい飲み」企業の業績が好調。鳥貴族などの激安居酒屋との競争激化か
佐藤昌司です。「ちょい飲み」企業の業績が好調です。吉野家は、ちょい飲みができる「吉呑み」の営業店舗を昨年5月に大幅に拡大しました。そのことが業績に貢献したといいます。「吉呑み」は全国500店舗以上で展開しています。
運営する吉野家ホールディングスの2017年2月期の決算は、売上高は前年比1.6%増の1,886億円、本業の儲けを示す営業利益は15.6%増の18億円です。増収増益です。
「吉呑み」ではオリジナルのメニューが人気です。税込み100~350円を中心とした価格帯で、「牛煮込み」や「牛すい」、「子盛りサイズの牛丼」といったお酒に合うメニューを豊富に取り揃えています。
また昨年7月より、スマートフォンのアプリ上で購入した仮想のマイボトルが「吉呑み」店舗で利用できるサービス「デジタルボトルキープ」を開始しました。アプリ上でマイボトルの残量を随時確認することができます。がっつり飲みたい時でも、ちょっとだけ飲みたい時でも利用できます。
日高屋のちょい飲みも好調です。運営するハイデイ日高の2017年2月期決算は、売上高は前年比4.7%増の385億円、営業利益は5.3%増の45億円です。増収増益です。アルコール類が好調に推移したことが業績に貢献したといいます。
日高屋のアルコール比率は15%程度とみられ、ラーメン店としては異例の高さです。店舗の95%程度が駅前の繁華街に立地するといい、ビジネスパーソンのアルコール需要を取り込むことができています。
「餃子」や「枝豆」、「冷奴」といった税込み170~210円のつまみ類や、「野菜炒め」などの炒め物を充実させたことが功を奏しています。仕事帰りのビジネスパーソンといった夜の客層を取り込むことで、ラーメン店で居酒屋需要を満たすことに成功しました。ちょい飲みでは、「ラーメン+餃子+ビールでも、1,000円でお釣りがくる」と訴求し、低価格で気軽に利用できることを売りにしています。