格安旅行で若者を中心に支持を集めていた「てるみくらぶ」が先日、東京地裁に破産を申請しました。同社を利用した海外渡航中のツアー客は現在も2,500名程度いると見られ、事態はますます深刻化しています。今回の倒産劇について、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは、「格安旅行会社の宿命」とした上で、今後も破産に追い込まれる会社も出てくるだろうとの見解を記しています。
「てるみくらぶ」の破産からわかる格安旅行会社の現状
佐藤昌司です。自社のインターネットサイトで格安旅行を販売する旅行会社「てるみくらぶ」が3月27日、東京地裁に破産を申請しました。格安旅行会社の置かれた経営環境の厳しさが浮き彫りとなりました。
帝国データバンクによると、てるみくらぶの2011年9月期の売上高は約134億円でしたが、2016年9月期は約195億円に達していました。近年はヨーロッパ旅行やクルーズ旅行など付加価値の高い商品をシニア向けに販売していました。積極的な広告展開が功を奏していたようです。しかし、積極的な広告展開で経費がかさみ、対面販売や添乗員の増員等で人件費が増加し、経営を圧迫したといいます。
旅行業は利益率が低いビジネスです。例えば、直近10年のJTBの売上高純利益率は-1.3~1.1%です。HISで0.1~2.2%です。大手でも経費がかさめば利益はすぐに吹き飛んでしまう業界構造であることがわかります。体力がない中堅以下の旅行代理店であれば、なおさら経費コントロールが重要となることは言うまでもありません。
近年はオンライン販売の競争が激化しています。「楽天トラベル」や「じゃらんnet」、「Yahoo!トラベル」といった大手のオンラインサイトが幅を利かせています。中堅以下のサイトは厳しい状況にあります。