なかなか止まらない「しゃっくり」に悩まされたことはありませんか?
自宅にいるときならばまだしも、会議や食事の席など、静かな場所ではとても気まずくなってしまうものです。
しゃっくりはなぜ起こるのか、また効果のある止めかたはないのか、ご説明いたしましょう。
しゃっくりとは?
しゃっくりは、医学的には「吃逆(きつぎゃく)」と呼ばれます。
肺の下にある「横隔膜(おうかくまく)」が何らかの原因によって痙攣(けいれん)すると、声を出すための器官である声帯の筋肉も収縮し、息を通る道が狭くなるため「ヒック」という音が出ます。
しゃっくりの多くは誰にでも起こるものです。続くと辛いですが、数時間でおさまれば身体に悪影響を与えるものではありません。
しかし、あまりにも長く続く場合は、睡眠不足になる、食事が摂りづらいなど、日常生活に不具合が生じてしまいます。
しゃっくりの種類と原因
しゃっくりは、持続する時間によって3つに分類されます。
1.吃逆発作(きつぎゃくほっさ)
48時間以内におさまるもの。
原因の多くは、多くは食事や炭酸飲料水・アルコールといった飲み物による刺激、入浴などによる変化、ストレス、喫煙などです。
2.持続性吃逆(ぞぞくせいきつぎゃく)
48時間以上〜1ヶ月以内におさまるもの。
3.難治性吃逆(なんちせいきつぎゃく)
1ヶ月以上続くもの。
2の持続性吃逆や、3の難治性吃逆は原因不明のこともありますが、病気が隠れている可能性も高くなります。
このとき考えられる原因としては、胃潰瘍や胃がんなど胃腸の病気、また頭のケガや脳腫瘍によって中枢神経が刺激されている場合、アルコール中毒や薬の副作用、といったものがあります。
さらに、過度のストレスや人格障害など、精神的な原因が関わっている場合もあり、しゃっくりがあまりにも長く続く場合は、病院で診察を受ける必要があります。
しゃっくりを止めるには?
では、ここでは一時的なしゃっくりである「吃逆発作」の止め方を検証してみましょう。
巷では、ある言葉を繰り返す、驚かせる、水を飲む、舌をひっぱる、といったさまざまな「しゃっくりの止めかた」が民間療法として広まっています。
なかには、自分独自の方法を持っている方もいるかもしれません。
しゃっくりを止めるためには横隔膜の痙攣を止めることが必要なため、どれも間違いではなく、自分に合った方法で身体に刺激を与えてみるとよいでしょう。
また横隔膜は呼吸によって動くため、次の呼吸法は効果が得やすいといわれています。
1.肺が空っぽになるまで息を吐き出す
2.肺をパンパンにするイメージで息を吸う
3.しばらく息を止める
そのほか、東洋医学の観点では、しゃっくりを止めるツボとして、左右の鎖骨の間にある「天突(てんとつ)」や、おへその真上にある「巨闕(こけつ)」を押すという方法もあります。
すべての人が一瞬でしゃっくりを止められる方法、というものは確立されていませんが、しゃっくりが続くときは、いろいろな止めかたを試し、自分に合う方法を見つけてみましょう。
ただし、人目を気にしすぎると精神的な気がかりも加わって逆効果になる場合があります。
誰にでも起こる生理的な反応ですから、必要以上に気に留めない、ということも意外と大切です。
執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
image by: Shutterstock
【関連リンク】