スイスの高級腕時計フランク・ミュラーを連想させる紛らわしい名称だとして、特許庁から商標無効とされた「フランク三浦」がその審決を不服として起こした裁判で、最高裁は「商標登録は有効」との判断を下しました。これでフランク三浦側の勝訴が確定しましたが、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは、過去に「シャネル」の名称を巡って争われた裁判を例に上げ、「パロディは大きな危険性もあるので慎重に行うべき」と注意を促しています。
フランク三浦の勝訴確定、フランク・ミュラーとは異なると最高裁が判断
佐藤昌司です。スイスの高級腕時計「フランク・ミュラー」を連想させる腕時計「フランク三浦」の商標が有効かどうかが争われた訴訟は、フランク三浦側の勝訴が確定しました。
特許庁は2015年9月に「全体の語感が似て紛らわしい」として登録の無効の審決をし、三浦側がその取り消しを求めて提訴していました。2016年4月に知財高裁は、呼称は似ているが外見などは大きく異なり、価格帯も大きく異なることから混同するとは考えられないとして、商標登録が有効との判決を下していました。最高裁はこの判決を支持する決定をしました。
フランク三浦の時計には「フランク三浦」の文字が時計盤に刻まれています。価格帯は、フランク・ミュラーが100万円を超える商品が多いのに対し、フランク三浦は4,000~6,000円程度で大きく異なります。一般的な感覚ではパロディの範囲内と考えることができるでしょう。最高裁は法的な観点から商標が有効と判断しました。
今回の訴訟ではパロディ販売した側が勝ちましたが、パロディは大きな危険が伴います。本件は商標権侵害が問題となっていましたが、パロディは不正競争防止法違反に基づく販売差し止め訴訟や著作権、意匠権などの侵害に対する訴訟などを起こされる可能性があります。