全米メディアは安倍トランプ会談の「成果」をどう報じたのか?

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共同声明の内容も去ることながら、日本では安倍総理とトランプ大統領の「親密さ」が大きく報じられた日米首脳会談。アメリカ在住の作家・冷泉彰彦さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』の中で、全米メディアは今回の日米首脳会談をどのように報じていたのか、詳しく解説。そこで浮き彫りになったのは、日本と米国の報道の「温度差」でした。

日米首脳会談、アメリカ側から見ると?

安倍首相がトランプ大統領との首脳会談を終えて帰国したようですが、4点ほど感想を記しておきたいと思います。

1つ目は、日米での報道の違いです。日本では大変に詳しい報道がされたようですが、アメリカの報道は違いました。まず、10日の金曜日、ホワイトハウスでの会談と共同会見に関しては、特にCNNなどのニュース専門局は「日米関係がどうなる?」という視点ではなく、「入国禁止問題で渦中の大統領が生放送の記者会見に出てくる」という「方の」関心が主でした。

例えば10日の共同記者会見で、トランプ大統領が指名したアメリカ側の記者は、真っ先にこの「7カ国からの入国禁止問題」を質問していました。隣に安倍首相がいて、しかもこの共同会見というのは、日米に関する協議をしていたにも関わらず、直接関係のない「入国禁止問題」の質問が飛び出すというのは、不自然は不自然なのですが、とにかくアメリカの世論の関心はそこにあったのです。

一方で、フロリダに移ってから北朝鮮がミサイルを発射したという事件が飛び込んできたわけですが、この事件を契機にして、アメリカの世論の関心も、またそれを受けたメディアの報道姿勢も「アジア情勢と日米関係へと急転回しました。

結果的に、日米首脳会談は大きな扱いとなり、例えば週明けの2月13日の朝、三大ネットワークの一つであるNBCの朝のニュースではトランプ大統領の「日本を100%守る」というコメントが大きく流れ、安倍首相のことも改めて取り上げられています。

ちなみに、日本時間の13日(月)夜のTBSラジオ『荻上チキのセッション22』に電話で参加したのですが、TBS記者の岩田夏弥氏によれば、このフロリダでの「共同記者会見」では、安倍首相が完全に主導していてトランプ大統領はその背後にいて、「100%発言」というのは「チョコっと言っただけだったそうです。

ですが、NBCではあくまで大統領が主役のように加工・編集されて報じられていました。そうではあるのですが、安倍首相も大きく取り上げられていたのは事実ですし、とにかく北朝鮮のミサイルを契機にして、改めて全米での日米首脳会談への扱いは大きくなっています。

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