足がむずむずして眠りにつけない「むずむず脚症候群」の対処法は?

2017.02.10
by Mocosuku
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むずむず脚症候群は「レストレスレッグス症候群:RLS」とか「下肢静止不能症候群」とも呼ばれます。

奇妙な名前なので、どこかで聞いたような・・・と印象に残っているかもしれません。

これは実は、不眠症の一つなのです。

いったいどのような病気なのか、詳しくご紹介いたしましょう。

むずむず脚症候群とは?

夕方から夜、布団に入って眠りばな、脚がむずむずとして眠れないとき、むずむず脚症候群かもしれません。

あるいは、ベッドパートナーに「眠っているときに、脚をよく動かしているよ」といわれたら、やはりこの病気の可能性があります。

入眠時や横になっていたり、電車や飛行機など座席にじっと座っていなければならないときに起こりやすいといわれています。

本人は「虫がはっているよう」「炭酸が泡立つ感じ」「ほてっている」「電気が流れているみたい」「足踏みしたい」などと感じています。

しかし、何かに夢中になったり熱中しているときには症状が弱まる傾向もあるようです。日中の眠気が強いのも一つの特徴です。

むずむず脚症候群は、「睡眠障害国際分類第2版」では「睡眠関連運動障害」に属しています。日本人の2~3%がかかっているとみられています。

むずむず脚症候群の症状

次のような症状があると、むずむず脚症候群と診断されます。

症状が夕方から夜にひどくなる

むずむず感のために寝つきが悪く(入眠困難)、熟睡もできなくて(熟眠障害)、夜中によく目が覚めて、その後眠れなくなってしまいます(途中覚醒)。

このように不眠症のさまざまな症状をきたしますが、真夜中から早朝にかけては、異常感覚が軽くなったり消えたりするようです。

睡眠中に落ち着きなく脚を動かす

脚が不快で、動かしたり、床にこすりつけたり、冷やしたりすることで楽になるので、睡眠中は無意識に脚を動かし続けています。

異常感覚のために、脚を動かしたい欲求が強い

ふくらはぎや足の甲、足の裏などに痛みや不快さを感じます。

異常感覚は、安静にしているとひどくなり、脚を動かすと軽くなる

睡眠中以外にも異常感覚は襲ってきます。横になったり座っていたりすると不快な感じが起こるので、脚を動かすことでその感覚を消しています。

こうした症状が週に3回以上生じ、3か月以上続いていて本人や周囲が苦痛や障害と感じている場合、さらには他の病気や薬物などによって症状が起こっているのではない場合に、むずむず脚症候群と診断されます。

むずむず脚症候群の原因は?

むずむず脚症候群の原因はまだ特定されていないようですが、脳内の神経伝達物質「ドーパミン」がうまく造られなくて不足してしまうからではないかと考えられています。

ドーパミンは興奮性のモノアミン神経伝達物質で、快楽や意欲に関与しているとされています。

ドーパミンを造るには鉄分や葉酸が必要とされ、体内でこれらが不足することで、中枢神経内の鉄分不足が生じたり代謝障害が起こるとドーパミンの濃度が下がり、脳への情報が誤って伝えられて、身体の感覚に異常を感じたり、脚を動かしてしまうようになるとみなされています。

むずむず脚症候群と関連する病気

眠っているあいだに足がリズミカルに動いてしまう病気に「周期性四肢運動」がありますが、むずむず脚症候群の患者の6~8割の人に、この病気との合併症があるとされています。

また、貧血や腎不全、心不全、関節リューマチ、パーキンソン病の人は、むずむず脚症候群になりやすいことがわかっています。

ある病気が別の病気によって起こることを「続発性」と呼びますが、続発性むずむず脚症候群の原因疾患として、鉄欠乏症貧血、葉酸欠乏、糖尿病、慢性腎不全、パーキンソン病、関節リューマチ、下肢静脈瘤、がん、高コレステロール血症などが挙げられています。

また、むずむず脚症候群になりやすい「危険因子」や「誘因」として、高齢や妊娠、アルコールやカフェイン、抗精神病薬などがあります。

さらに放置しておくと、日常生活に大きな影響を及ぼして昼間の疲労感をひき起こしたり、回復が長引いて全身の慢性疼痛が出てくることもあるようです。

そして症状が悪化して、睡眠障害と過度のストレスから「うつ病」を招いたり、最悪、自殺に至る危険性も指摘されています。

むずむず脚症候群の治療や症状改善

むずむず脚症候群の異常感覚は、薬物療法で軽快するとされ、ドーパミン神経の機能を高める「L-DOPA製剤」「ドーパミン受容体刺激薬」が有効とされています。反対に抗うつ薬や抗精神病薬にはかえって症状を悪化させるものもあります。

専門の神経内科や精神科、あるいは睡眠外来などに受診をして適切な治療を受けましょう。

日常のケアとしては、脚をマッサージすることや、叩いたりさすったり、歩き回ったり足踏みなどをして、脚を動かすことが奨励されています。

また、誘発因子となるカフェインやアルコール、喫煙を制限することも効果的です。

<参考>
坪田 聡『不眠症の科学』サイエンス・アイ新書、2011.

 

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
 

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

 

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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