狂犬は中国に噛み付いた。米国防長官「尖閣を守る」発言の破壊力

kitano20170206
 

トランプ新政権の閣僚として初外遊を行っているマティス米国防長官が先日、来日しましたが、その発言は思った以上に日本にとって「好意的」なものでした。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で世界情勢に詳しい北野幸伯さんも今回の来日を「大成功だった」と絶賛した上で、今後我が国が米国、そして中国とどのように接していくべきかについて記しています。

マティス米国防長官来日~4つの重要ポイント

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!北野です。皆さんご存知のように、アメリカのマティス新国防長官が来日しました。今回は、この訪日の成果について考えてみましょう。

一つ目のポイント、「尖閣は日米安保の適用範囲」を明言

一つ目の重要ポイント。マティスさんは、「尖閣は日米安保の適用範囲」であることを明言しました産経新聞2月4日。

安倍晋三首相は3日、官邸でマティス米国防長官と会談した。マティス氏は、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲に尖閣諸島(沖縄県石垣市)が含まれると明言。中国を念頭に「尖閣諸島は日本の施政下にある領域。日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と表明した。

これ、本当に大事です。

日本には、「尖閣有事の際、アメリカは日本を絶対守りません!」と断言する「専門家」がたくさんいます。

実際、心配な事例もある。たとえば、08年8月、ロシア―ジョージア(旧グルジア)戦争が起こった。ジョージアは、03年のバラ革命以降、アメリカの傀儡政権だった。しかし、戦争が勃発した時、アメリカは軍事力を使ってジョージアを守りませんでした。結果、ジョージアは、南オセチア、アプハジアを失ってしまいます。ロシアが、両自治体を国家承認」した。

たとえば14年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が倒れた。そして、親米政権が誕生した。14年3月、ロシアはクリミアを併合。アメリカは、日本、欧州を誘って対ロシア制裁を発動しました。しかし、軍事力を行使してクリミアを取り戻すことはなかった。こうして、ウクライナは、クリミアを永遠に失ったのです。

確かに、ジョージアやウクライナは、日本と違いアメリカの軍事同盟国ではありません。NATOにも加盟していない。だから、アメリカに両国を守る「法的義務」はありません。しかし、両国は、事件が起こった時、事実上の「アメリカ傀儡政権」だった。アメリカの冷淡さに対し日本が心配になるのは当然なのです。

とはいえ、この件での「最重要ポイント」は、「尖閣有事の際アメリカは日本を守るのか?」ではありません。正直言えば、そんなことは、誰にもわからない。大事なのは、「尖閣有事の際アメリカが日本を守る」と「『中国が信じているかどうか?」なのです。

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