吉野家HDの業績が好調です。ソフトバンクと吉野家のコラボ企画「スーパーフライデー」が大当たりしたこと、さらに子会社化した「はなまるうどん」の原価率の低さが功を奏しているようです。しかし、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは、はなまるうどんには「丸亀製麺」という越えられぬ壁があり、今後の業績に関しても決して楽観視できない、としています。
吉野家HDの利益が40%増、はなまると丸亀製麺のうどん戦争勃発
佐藤昌司です。吉野家ホールディングス(HD)が好調です。「吉野家」と「はなまるうどん」が業績を牽引しました。吉野家HDの2016年3~11月期決算は、売上高は前年比1.4%増の1,406億円、本業の儲けを示す営業利益は41.4%増の12億円です。増収増益となりました。
吉野家が業績を牽引しました。2016年3~11月期の売上高は前年比2.2%増の722億円、営業利益は38.8%増の29億円です。
ソフトバンクとのコラボ企画「スーパーフライデー」キャンペーンが好評でした。スーパーフライデーとは、ソフトバンクが携帯電話サービス開始から10周年を記念して、ソフトバンクのスマホの利用者に、金曜日に利用できるクーポンを配信するキャンペーンです。月ごとに異なる企業とコラボし、10月は吉野家の牛丼並盛が1杯無料になりました。
同キャンペーンにより10月の金曜日の吉野家には消費者が殺到しました。店によっては行列ができるほどです。集客効果は数字にも表れています。吉野家の2016年3~12月の既存店の客数は前年比2.8%増、売上高は0.7%増にすぎませんが、キャンペーンを実施した10月の客数は21.8%増、売上高は15.1%増となっています。客数と売上高に大きく貢献しました。
スーパーフライデー以外でも業績を牽引した施策があります。4月に販売を休止していた「豚丼」を復活販売したことが業績向上に貢献しました。発売より約6ヶ月で累計販売数2,000万食を突破しています。
5月には「吉呑み」が全店の約9割にあたる1,063店舗に拡大しました。7月からはスマホのアプリでマイボトルを購入し、有効期限内で継続利用できるサービス「デジタルボトルキープ」を540店舗で開始したことも吉呑みによる集客に貢献しました。
11月には半日分の野菜が摂れる「牛すき鍋膳」と地域特性を活かした5種類の地域限定メニュー「ご当地鍋」が好評でした。
以上を中心とした施策により吉野家が好調に推移しましたでが、一方で「はなまるうどん」が好調だったことも全体の業績を牽引する形になりました。「はなまる」の2016年3~11月期の売上高は前年比11.6%増の176億円、営業利益は17.2%減の8億円です。減益にはなりましたが、これは前期が良すぎたことによります。