その後、安倍政権は、懸命に原発の海外への売り込みを行いましたが、その背景には、破綻してしまった原発事業を何とか復活させたいという霞が関の意向があったのです。米国に引かされたババ抜きのババを、何とか利益を生み出す事業に転換させたいという必死の思いがあったのです。
しかし、それは見果てぬ夢に終わりました。毎年コストが下がっていく風力や太陽光発電と比べて、事故のたびにコストが上がり、厄介な使用済み核燃料を残す原発とでは全く勝負にならないのです。福島第一での事故は、時間の問題でしかなかった原発事業の破綻を大幅に加速したのです。
そんな理由で、1兆円を超えるまでに積み上がったウェスティングハウスの「のれん代」は、「いつかは損失として計上しなければいけない爆弾」として東芝のバランスシートに残っていたのです。
今回の7,000億円の特別損失は、その積み上がっていた「のれん代」を償却しただけのことなのです。
しかし、「損失隠しのために先送りしていた」とは言えないので、「2015年の末に買収したS&Wの資産が大幅に目減りした」と、あたかも「新たな事象」のために今年になって損失を計上することにした、と言っているだけなのです。