第二次大戦前夜と同じ。トランプ大統領の就任演説が醸す「不穏」

 

トランプのビジョンは、「アメリカ第1主義」

では、今後トランプ・アメリカはどうするのでしょうか?

From this day forward, a new vision will govern our land.

 

今日から今後は、新しいビジョンがこの国を統治します。

 

From this day forward, it’s going to be only America First, America First.

 

今日から今後は、ただひたすら「アメリカ第1、アメリカ第1」です。

解決策は、「アメリカ第1!」だそうです。トランプは、「アメリカ第1主義」です。

ポイント3

トランプは、「アメリカ第1主義」。

Every decision on trade, on taxes, on immigration, on foreign affairs, will be made to benefit American workers and American families.

 

貿易、税金、移民、外交に関するすべての決断は、アメリカの有権者とアメリカの家族の利益となるよう行われます。

 

We must protect our borders from the ravages of other countries making our products, stealing our companies, and destroying our jobs. Protection will lead to great prosperity and strength.

 

私たちは、私たちの製品を作り、私たちの企業から盗み、私たちの職を破壊する外国の侵害から、この国の国境を守らなくてはならない。保護によって、繁栄と力は拡大します。

ここで、また重要な発言をしています。「保護によって、繁栄と力は拡大します」と。

ポイント4

トランプは、「保護主義者」。

私たちの企業から盗み、私たちの職を破壊する外国の侵害から、この国の国境を守らなくてはならない。

これはその通りですが、たとえば「保護貿易を過剰にやると世界恐慌になるリスクが出てきます(就任演説では直接言及しませんでしたが、彼はこれまで、「中国製品に35~45%の関税をかける」などと主張しています)。

トランプが常々いっているように、関税を大幅に上げた。すると、たとえば中国からアメリカへの輸出が激減するでしょう。中国経済は破壊されます。中国の消費は落ち込み、結果として日本の対中輸出が減る。日本経済も打撃を受けます。連鎖して、世界は恐慌になります。

構造を書くと

アメリカ、関税を大幅に引き上げる → 対米輸出減少 → 世界の国々の所得減少 → 世界の国々の消費減少 → 世界の生産減少 → また世界の国々の所得減少 → また世界の国々の消費減少 → また世界の国々の生産減少 → 以下同じプロセスの繰り返し

オバマは、世界恐慌時の失敗を繰り返しませんでした。しかし、トランプは、「ブロック経済に向かった1930年代と同じ主張をしている。「歴史は繰り返す」ということでしょうか? 皆さんご存知のように、その後「世界大戦」が勃発しました。

まとめてみましょう。

  1. トランプは、権力を、既存の支配者から国民に戻すと宣言した。
  2. トランプは、「アメリカは外国を支援しすぎているので貧しくなった」と考えている。
  3. トランプは、「アメリカ第1主義」によって「アメリカは再び偉大になれる」と考えている。

原文、翻訳は、BBCからの転載です。全文を英語、日本語で読みたい方は、こちらをご一読ください。

【米政権交代】 「アメリカ第一」 トランプ新大統領の就任演説 全文と和訳

image by: Andrew F. Kazmierski / Shutterstock, Inc.

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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