欧米ではたった700円。オペラが身近になる、初心者向け鑑賞マニュアル

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オペラ公演などの企画制作・演出を行う傍ら、オペラの楽しみを広く伝える活動も積極的に展開している田実志大さん。先日創刊されたばかりの無料メルマガ『0からのオペラつーしん!』では、高級かつ難解というイメージを持たれているオペラが、いかに庶民的で誰もが楽しめるものであるかを、噛み砕いて説明されています。

欧米で700円で一流オペラを見られる仕組みから知るオペラの魅力

まず、よくオペラの解説などに出てくるオペラの歴史を簡潔に紐解いていきます。西暦1600年頃にイタリアで誕生した音楽劇がオペラの始まりと言われています。

当時のイタリアはまさにルネサンス時代。古代ギリシャのものを復活させよう!という動きが各芸術分野で高まり、その流れは演劇にもあらわれ、その結果「古代ギリシャの演劇を再現してみよう!」という想いから、「全ての言葉に音楽に付いている演劇」としてオペラが実験的に始まりました。ルネサンス当時の研究者は、古代ギリシャの演劇に音楽が関わっていたことを発見していたのです。

現在でも、「全ての言葉に音楽が付いている演劇」というのは、例外もありますが、オペラの基本的な決まりとなっています。

その後、オペラはパリやウィーンなどヨーロッパへ広がっていき、今では多くの都市に市立歌劇場が出来るほど浸透しました。

欧米ですと、ほとんどの劇場で当日券で安い席を買うことが可能で、パリのシャンゼリゼ歌劇場では、当日券は5ユーロです。1ユーロ=140円で換算すると700円。いかに、ヨーロッパにオペラ文化が定着しきっているかがわかります。映画よりも安く見れてしまうのですね。

オペラの席の選び方の基準

もしかしたら、あなたのイメージでは「オペラって高級な、入りがたい世界」っていう認識があったりしませんか?

実はそんなことは全然なく、18世紀には既に庶民の娯楽になっており、もちろん、貴族用の席もありましたが歌劇場には庶民がつめかけました。

現在ですと、歌劇場の1階席が一番高価な席で、2~4階の席になるほど値段が安くなるという価格設定ですが、当時の劇場では1階席は庶民の席であり、立ち見なども行われていたそうです。身分の高い人は、ボックス席という2~3階席にある四角い部屋となっている席で、優雅にオペラを楽しみました。

ちなみに、オペラの席の選び方の基準ですが、一般的に歌手を近くで感じたり見たりしたいのなら1階席、音楽を楽しみたいなら2~3階席でしょうか。

劇場の作りによって細かい場所などは変わるのですが、オペラ歌手の発声は反響を有効に使っているので、1階席は比較的音が良くない場合がほとんどです。とはいえ、オペラの舞台を間近に感じるのも、かなりステキな体験です。

ほとんどの公演では日本語字幕が付く

さてなぜ、一般の庶民はオペラに夢中になったか。

その秘密は
・話すだけの普通の演劇より音楽があるから感情表現が伝わりやすい
・音楽だけのいわゆるクラシックコンサートよりも、言葉があるから意味がわかる
などがあります。

これって現代でも同じではないでしょうか。舞台で起きていることの意味が分からないと、眠たくなっちゃいますね……笑

オペラの多くは、日本でもイタリア語やフランス語で上演されるため、言葉の問題がありますが、ほとんどの公演では日本語字幕が付くので、言葉に関してはあまり問題がないのです。

ということで、今回は主にオペラの魅力についてでした。次回は、オペラの構成についてお話しようと思います。オペラがどのように進行していくのかなど、知っているとオペラがもっとわかりやすくなる情報をお届けします。

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『0からのオペラつーしん!』
オペラ公演の演出や体験型オペラ・ワークショップを行う、オペラ・ファシリテーターが発刊する、誰にでも分かりやすい、オペラ初心者向けのメルマガ。単語1つの解説にも実例などを用いて解説、オペラ入門にはもちろん、既にオペラを観たことがある方もさらにオペラが好きになっちゃいますよ!
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