メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』の著者で、中部大学の武田教授が、日本の「ゴミ分別」や「リサイクル」の裏側を暴露するシリーズの第三弾。今回は「紙のリサイクルは、金儲けのためにメディアと利権団体が国ぐるみで作り上げた社会的システムである」と衝撃の告白をしています。そして、環境の為だと思い込み、科学的な検証もせずメディアに「洗脳」されてしまった私たち庶民への苦言も。紙のリサイクルには、どんな利権団体や企業が関わっているのでしょうか?
「紙のリサイクル」が天下り型企業に取って変わり一転、大赤字に
リサイクル運動が盛んになった2000年以後、さまざまな不祥事が起きています。その一つが「紙のリサイクルの虚偽表示」で、100%リサイクルと表示されたものが40%しか含まれていないなど多数の虚偽表示が2008年に発覚しました。
この事件は、単なる虚偽表示と言うに留まらず、大手製紙会社や日本郵便が発行した年賀はがきの虚偽など社会の指導的な立場にある組織が犯罪を犯したこと、リサイクルを統括する立場の環境省が深く関与していることなど、日本の社会、道徳、誠実性などを傷つけた点でも注目すべき事件です。
樹木を原料とする紙をリサイクルしなければならないという話はどこから出たのでしょうか?
もともと、紙は「ちり紙交換業」が行っていたもので、零細な企業が家族で軽トラックを運転して市街地を回り、新聞紙や段ボールを回収してわずかなちり紙を渡していました。
一度には持てないほどの雑誌や新聞紙を渡しても、トイレットペーパー2巻きぐらいしかもらえなかったけれど、それは「回収した古紙から、ガソリン代、軽トラの償却費、家族の人件費などを差し引くと、わずかにトイレットペーパー2巻きぐらいしか残らない」と言うことを示していました。
ちり紙交換の人が豪邸を建てたなどという話はなく、慎ましく家族で仕事をして生活をしていたのです。
それを朝日新聞を中心としたメディアが「紙をリサイクルする社会的システムを作れ」と世論を形成し、それまで家族で一所懸命やっていた零細企業はつぶれ、役人に接近したり、ややこしい書類を書くことができる「天下り型企業」が取って代わりました。私は2005年頃に細かく取材し、それを「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」という本に書いたところ、利権者からかなりの攻撃を受けました。