近年大変な人気を集めながらも、数々の問題も指摘されているタワーマンション。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で取り上げられているのは、階層間の不公正を是正する為に、国が「固定資産税見直し案」を発表したという話題です。一見、不公平感に悩むタワーマンション住民の救いにもなりそうな法改正ですが、メルマガ著者でマンションの専門家・廣田信子さんは「一層の差別意識と不公平感が生まれる」との見方を示しています。
タワマン、最大10%の評価額の差は何のためのもの?
こんにちは! 廣田信子です。
タワマンの高額な高層階の部屋を購入し、固定資産税の評価額が低いことを利用した相続税の節税問題について、
● タワマン節税に待った
● 高層階ほどバカを見る。タワーマンション「課税」に黄昏れて
と過去記事に書いてきましたが、不公平を是正するための固定資産税見直し案が12月8日に税制改正大綱で明らかになりました。
現在、タワーマンションの固定資産税は、床面積が同じならどの階でも同じ額ですが、見直し後は、建物全体の税額は変えずに、それを各戸に按分するに当たって、1階上がるごとに税額も上がるように設定されます。高さ60メートルを超え、20階建て以上となるような新築マンションが対象で、2018年の適用です。
で、どのくらいの差になるのか注目されていたのですが…、40階建てのマンションで、1階と最上階の税額の差を10%程度とするというのです。「え、10%?」というのが正直な感想です。
高市早苗総務相は、固定資産税額は現在、床面積が同じなら税額が変わらず、「不公平感を生んでいるという指摘があった」と、言っていますが、そうだったかな~、言われていたのは、相続税における不公平じゃなかったですか。
しかも、最大差で10%です。
例えば、各住戸の税額が現行20万円の40階建てマンションで10%の税額差を反映させると、1階は約19万円、最上階は約21万円となる。ということで、最大で2万円の差が付くということです。
これで、公平になったと思いますか?
実は、この程度の差をつけるために、これまでの区分所有における公平の概念が大きく壊されることにもなりかねないのです。