「宿題やらなきゃダメだよ」「このペースじゃ終わらないよ」など、日常的にかけている言葉が我が子にとってマイナスにしかなっていないとしたら…。無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』の著者で教育評論家の親野智可等(おやの ちから)さんは、親の否定語が子どものやる気を奪うとした上で、子どもをやる気にさせる「簡単言い換え法」を紹介しています。
言葉ですべてが決まる。親の言葉を変えれば子どもも変わる
長い休みには、地域や企業が主催するいろいろな親子イベントが開かれます。そこには、実にいろいろな親子がやってきて、親子の見本市のような感じになります。そこで親子の様子を2~3分見ていると、その親子関係が将来どうなるかがわかるような気がしてきます。なんといっても、一番大事なのは親の言葉であり、これで全てが決まると言っていいほどです。
あるとき、夏休みの工作を親子で一緒につくるイベントがありました。そこで見た光景を紹介します。
あるお父さんと男の子が、木でロボットをつくっていました。そのお父さんの言葉は、「それじゃ、ダメダメ。もっと釘をよく見て打たなきゃダメじゃん。ほ~ら、曲がっちゃった」「ちゃんと押さえてないからボンドがつかないじゃん。もっと力を入れなきゃくっつかないよ」という感じです。
すぐ近くで、別のお父さんと男の子が木で飛行機をつくっていました。そのお父さんの言葉は、「おお。いいじゃん。うまいうまい、いい感じ」「「うまく削れたねえ。いいぞ、いいぞ。ここをもう少し細くするとぴったりはまるよ」という感じです。
否定的な言い方が口癖になっている
一人めのお父さんは、口にする言葉が全て否定的です。それに比べて二人めのお父さんはかなり肯定的です。
否定的な言葉で言われると、誰でも不愉快な気持ちになります。自分がとがめられて、否定されているように感じるからです。すると、素直な気持ちで受け入れることができなくなります。さらには、自分は相手によく思われていないと感じるようになります。親子の場合は、「自分はあまり大切にされていないのではないか?愛されていないのかも?」という疑いが出てきます。すると、さらに反発する気持ちが高まり、わざと反対のことをしたくなります。
これが親子関係の崩壊につながっていきます。先ほどの二組めの親子は安心ですが、一組めの親子は先々ちょっと心配です。そして、このお父さんに限らず、ほとんどの親は自分の言葉に無自覚で、毎日わが子に否定的な言葉をぶつけてとがめています。
これは非常にまずいことです。なぜなら、親子関係も含めてすべての人間関係は言葉によって決まるからです。ですから、否定的にとがめる言葉が出そうになったとき、それをそのまま口にするのではなく言い換えることが大事です。
でも、中には、否定的な言い方が口癖になっている人がたくさんいます。そういう人は、「がんばろうね」と言えばいいところを「がんばらなきゃダメだよ」と言ってしまいます。「しっかり噛もう」でいいところを「しっかり噛まなきゃダメだよ」と言い、「お行儀よくしようね」でいいところを「お行儀よくしなきゃダメだよ」と言ってしまいます。
このような否定的な口癖を直すには、日ごろから心がけていることが大事です。そして、心がけていれば、だんだんできるようになります。私も若いころ読んだ本によってこのことを教えられ、それから気をつけるようにしていたらだんだんできるようになりました。