日本の「ゴミの分別」は本当に役に立っているのか?武田教授が苦言

 

またごく一部、たとえば農家が畑に「自分の家で食べ残した食料」を畑の土に混ぜたり、たい肥にしたりすることもできます。でも日本全体の量のうちほんのわずかです。また世界的に見ると、人口の5分の1ぐらいを占める先進国の「食べ残し食料」は少し回収できますが、世界全体から見るとそれはほんの少しにすぎません。

むしろ、現在の日本の食品リサイクルというのは、制度があり税金が使われるので、「仕事としては成立する」とか「できるだけ食べ残してくれれば使うことができる」ということで、到底、環境を改善したり資源を節約できるということではありません。それより、日本は食料の多くを海外から輸入していて、その40%を廃棄しているとされています。もっと食材を大切にして食べ残しを減らすほうがずっと環境に良いのは言うまでもないでしょう。

もう一度、整理してみると、人間は一年に20トンの資源を消費し、そのうち動物並みに使う食料が100分の1の200キログラムあり、それは糞となって70キログラムが排出され、むしろさらに資源を投じて浄化する必要があります。一方、食料自給率が40%でその40%が捨てられていることから、無駄にしている食料は50キログラムにおよび、その数%がリサイクルできるので、食品リサイクルで再利用できる資源量は全体の0.0075%(1万3000分の1)となり、限りなくゼロに近いことがわかります。(次回につづく)

image by: cowardlion / Shutterstock.com

 

武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』より一部抜粋

著者/武田邦彦
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
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