自衛隊の南スーダンPKOに「駆けつけ警護」などの新任務が付与され、大きな話題となっています。以前から憲法9条改正に関してマスコミの一部は、護憲派の語る「徴兵制への不安」を取り上げことさら煽り立てていますが、無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長である柴田忠男さんは、「それはすべて間違いだ」と一刀両断。そう判断した理由が、今回紹介されている1冊の本に記されています。
『そして誰もマスコミを信じなくなった――共産党化する日本のメディア』
潮匡人・著 飛鳥新社
この寒い中、どこかの政党が「戦争法案」とか「徴兵制」とか、街頭で声をはりあげ、じいさんばあさんが署名運動をしていた。いわゆる「平和安全法制」を巡り、護憲派メディアはさかんに「徴兵制への不安」を煽り立てた。そのせいで、ホントかなと思った人もいるかもしれない。だが、この国で徴兵制など起こり得ない。潮匡人『そして誰もマスコミを信じなくなった』を読んでよくわかった。いわゆる護憲派の思考回路は「戦争法案で自衛隊員のリスクが増す→隊員が退職する→実員が不足する→徴兵制になる」という単純なもので、煽り立てには使い勝手がいいが、すべて間違いである。
平和安全法制下の自衛隊員のリスクといえば国連PKO参加だが、世界で誰もその「平和維持活動」を「戦争」とは呼ばない。例外は日本の護憲派だけだ。たとえリスクが増しても自衛官は退職しない。東日本大震災の復旧の最中に、民主党政権が危険な紛争地南スーダンに派遣を強行したとき、現場は粛々と政治の決定に服した。しかも官邸からは「暴力装置」と罵られた。それでも隊員は退職しない。最新版「防衛白書」によれば、防衛大学校(前期一般・文系)の倍率は93.8倍、文系女子に限れば158.1倍。空自一般幹部候補生は46.4倍、高卒コースの一般曹候補性は7倍、自衛官候補生も3.8倍。異常なほどの人気だ。