都会にいながら、大自然をまるごと体感できる建物がイタリア・ミラノにありました。「直立した森」を意味する『バーティカルフォレスト』というタワーマンションなんです。これを手がけたイタリア人建築家が、今度は中国に『マウンテン・バーティカル・ホテル』を建設予定なんだそうです。その見た目はまさに森!
マンションごと森に。ミラノにあるタワーマンション
イタリアの建築デザインスタジオStefano Boeri Architetti (SBA) が手がけるプロジェクト「バーティカルフォレスト (直立した森) 」は、都会での森林再生のためのモデルとして、その土地を都市開発によって侵すことなく、環境と都市における生物多様性の再生をテーマとしています。
都市の中の自然の直立的な高密度化のモデルであり、森林再生のポリシーに従い、広域にわたる都市の自然化を目指しているそうです。
同プロジェクトの建築物として最初に完成したのは、2014年にミラノの中心部に建てられた高さ110メートルと76メートルの2つのタワーマンションです。
image © designboom
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ミラノで賞を授与されたこの建築物には、27階にわたり1ヘクタール (約1万㎡) あたりの森林と同じ本数の木々があしらわれていて、2棟合わせて730本の樹木と5,000本の灌木、11,000種の植物が使用されているとのこと。
紅葉中。季節によって違う表情を見せます。
ちゃんと手入れもされています!
まさに「大自然」に抱かれていますね。
今度は中国に建設予定。大自然に囲まれた豪華なホテル
Image by: Stefano Boeri
Image by: Stefano Boeri
同スタジオがミラノのタワーマンションに続いて手がけるのは、中国・貴州省に建築予定の「マウンテン・フォレスト・ホテル(Mountain Forest Hotel)」。
これは、同地にかつて存在した山々の光景を再現しています。
250室の部屋数をもつそのホテルでは、以前あった丘を真似た設計によって、当時の地形やそのエリアのエコシステムを再現しようというのです。
200エーカー (約160万㎡) にわたる緩やかな丘に建てられるそのホテルには、ジムやラウンジ、VIPエリアやバー、レストランや会議室などが併設される予定だそうです。
想像しただけでその豪華さが目に浮かびますね。
空気をきれいにする目的として木々で覆われたそのホテルに宿泊すれば、まるで自然の中で横になっているかのような気持ちになるでしょうね。
SBAによると、自然界と人工の世界との共存がデザインのコアとなっているそうです。
「これで中国の汚染された空気がきれいになるの?」など、SNSでも話題になっています。
バーティカルフォレストでは、微気候や湿度の生成、二酸化炭素やダスト粒子を吸収して酸素を作り出す植物性のシステムをその機能としており、エコを意識した今後の建築業界を担うと言っても過言ではありません。
「世界中の建築家たちは空中に展開する樹木のアイデアについて日々試行錯誤を繰り返している。その試みは建築の将来にとっても、我々の住む地球にとっても重要だ。1つのアイデアでは叶わないことも複数のアイデアであれば実現することができるし、その結果世界を変えることも可能なのだ」とSBAは主張しています。
これらのデザインを通して、SBAは気候変動の緩和や二酸化炭素の排出の減少を狙い、今後私たちが自然と共存していく社会の実現を目指していくと公言しています。
世界中でエコへの意識が高まり、このようなプロジェクトが増えていけば、本当に世界は変わることができるかもしれませんね。
Source by: MailOnline , itsliquid
文/貞賀 三奈美