過去24億円の赤字から大復活。リンガーハットに何が起きたのか?

 

長崎ちゃんぽん唯一の全国チェーン店として知られているリンガーハットですが、外食産業全体の低価格競争の波に巻き込まれ、人件費を削ったことでサービスの質を落とし、ついには「ブランド力の低下」を招いて2009年に過去最大となる24億円の赤字を計上していました。その後、創業家の米濱氏が社長として再登板し、低迷の原因を徹底的に探り手を打つことで見事な復活を遂げています。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では、なぜリンガーハットは地獄を見ることになったのか、そしてそこからどのような戦略で業績を回復させたのかについて詳細に分析しています。

顧客の期待

一時期の業績低迷から脱却し、好調を持続している企業を分析します。

リンガーハット(長崎ちゃんぽんチェーン)

戦略ショートストーリー

健康志向の方をターゲットに「国産野菜にこだわりを持った独自のモノづくり」に支えられた「おいしく安心・安全でヘルシー」といった強みで差別化しています。

野菜の国産化にとどまらず、小麦粉も100%国産を実現し、保存料・合成着色料を排除するなど、健康的なイメージをさらに訴求することで顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

「顧客の期待」

リンガーハットのここ10年くらいを振り返りますと、2007年、2008年と既存店売上が前年を下回る状況が続き、2009年2月期に過去最大の赤字を計上しています。その後、野菜の100%国産化を進め、2010年以降は、売上げ拡大を続けています

2009年頃のリンガーハットの業績が悪化したことの要因として、2009年に社長に再登板した創業家の米濱氏は、クーポンなどを活用した「値下げによる集客」に走ったことをあげていたようです。

今回は一歩踏み込んで、当時のリンガーハットは、なぜ、「値下げによる集客」に走ったのか考えてみましょう。恐らく、下記のような悪循環になっていたことが想定されます。

  • 売上げが落ちる(既存店の売上げが前年を下回る状況が続く)
  • 高いからだ(デフレの世の中では安くしないと売れない)
  • 安くする(味を犠牲にする)
  • 安さを求める客は獲得できる一方、既存のファンは離れていく
  • 安さを求める客は、より安い方に流れる
  • 一時的には売上げが上がったとしても、維持できない

ここまで単純ではないかもしれませんが、実際に「値下げによる集客」を図っていたことからも、自社の価格設定に自信が持てない(高いのではないか)という状況であったと思われます。だからこそ、このような悪循環に陥ってしまったといえるでしょう。

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