皆さま、再びお待たせいたしました。大人気のメルマガ「高城未来研究所」の著者で、毎日のように世界中を飛び回る高城剛さんに、めまぐるしく変わる世界情勢の「裏側」について聞いたロングインタビュー第3回目の最終回をお届けいたします。現在も多くの問題が噴出している「オリンピックと報道の自由」について語った第2回に続き、最終回では「イランの動きに注目する理由」「なぜ北は日本に向けミサイルを撃つのか」、そして「石垣島の不便な場所にファミマが増加している理由」など、高城さんが私見たっぷりに語ってくれています。
沖縄の離島にいきなりファミマができる理由
まぐまぐ:高城さんはよく「イランこそ注目」って、メルマガで書かれてるじゃないですか。「中国の次はイランだ」って。あれって、他の人はなかなかおっしゃらないことですが……。
高城:まあ、日本は世界=米国ですからね。
まぐまぐ:中東だと最近ではドバイだとか、他に栄えている地域もあるわけですが、そんななかでなぜイランなのか、改めて教えていただけますか。
高城:まずイランっていうのは、歴史がある大国です。日本や中国同様に。しかも領土も大きくてね。中東っていうと、みんなドバイとかサウジアラビアって言うけど、あれらはつい最近できた国にすぎず、国家として体をなしていません。ドバイなんかは、王族がイギリスの表と裏の投資のお手伝いをする場所だから。それがドバイっていう砂上の都市をつくりました。ドバイの様子がおかしくなると、イギリスからすぐ大臣が飛んでくるのは、そういう理由なんですよ。歴史を感じますね。
サウジにしても、50年前までベドウィンだったわけで。それが石油で突然お金持ちになっちゃって、アメリカの後ろ盾も得たものだから、「これはいけるぞ」って勘違いしちゃったんです。で、国民の不満がたまったら、補正予算で国民に金をどんどん配って、とにかく黙らせると。この構造は日本と一緒なんですけどね。
まぐまぐ:国として未熟なんですね。
高城:その点イランっていうのは、もともとはペルシャで非常に優雅な文化を持っていたんです。ところが、石油が出てしばらくしたときに、アメリカと揉めたわけですよね。もともとは王族と米国はパートナー同士だったんですけど、イラン革命が起きて市民国家になった。それがアメリカは気に入らないから、サウジとくっついたわけです。
イランとしては、アメリカおよび類する国々と戦わなきゃいけないから、核を持つようになる。それで経済制裁を受けて、その間に非常に貧乏になったけど、みんなアメリカには媚びを売らないんですよ。貧乏になっても、イラン人はプライドを捨てない。一方、日本人は、貧乏になるのを嫌がるじゃないですか。
まぐまぐ:たしかに嫌ですね。
高城:国家に「やっぱり、金まいてくださいよ」って言うのが日本人だけど、イランの人たちはパワーあるんですよね。貧乏になっても、俺らはアメリカにしっぽ振らないっていうことで、すごく芯が強いんです。軍隊にしても、イラン革命防衛隊っていうのはもうすごく強くて、そのうえ絶対にしっぽを出さない。だって、実権握っているのが誰なのか、いまも分かってないんだから。表向きには軍部のトップっているんだけど、それって影武者ですからね。
まぐまぐ:誰が命令しているのか、わかんないってことですか。
高城:そう。だから民兵がとにかく強いんですよ。また、イランって、ドイツとすごく仲が良いんです。それは、経済制裁中もドイツはずっと付き合っていたからなんだけど。だから、ドイツにはイラン人2世が、いっぱいいるんですよ。その人たちの尽力もあって、ドイツコネクションっていうのが、イランではすごく重要なんです。
まぐまぐ:へぇ。意外な関係ですね。
高城:イランにおける重要な会議って、もちろん国内でも行われるんだけど、ドイツで多く行われています。ハンブルクだとか、ちょっとマイナーな都市でやるんだけど。で、さらに重要な会議っていうのは、路上で行われるんです。
まぐまぐ:え、路上で重要な会議って?
高城:ドイツのどこかマイナーな都市にある、どこの交差点に何時、とかって言われるんですよ。それで時間通りに行ってみると、本当に重要な人が来るんです。まず民兵が……見かけは普通のおばさんとかなんですけど、それがパッと周りを取り囲んでスペースを作って、そこに重要人物が現れるんです。で、用件が済んだらパッといなくなって、終わり。そこまで徹底して、しっぽを捕まれないようにしてるんだから、これは絶対に勝てない。
まぐまぐ:……すごい話ですね。
高城:実際の国力にしても、サウジなんかは人口を水増しして言ってるんです。「うちは大国だ」って。でもイランは、逆に小さく言っている。表向きは8000万人だってことになってるけど、多分1億5000万人ぐらい人口がいる。なかには2億人って言う人もいるんだけど、本当のところは分からない。ただ人がいっぱいいるのは、間違いないでしょう、恐らく日本よりも。それでいて石油も湧いてて、お金もあるから、まだまだこれから伸びるでしょう。アメリカとの距離もあるしね。
アメリカとイランの国交は、まだ正式には回復していないですけど、経済制裁は一応解けたので、これから投資が一気に集まりそうなんです。これって、80年代前半の中国と似ている状況です。それまで国を閉じていた中国が、国を開いて80年代に一気に投資を呼び込んで、80年代後半から90年にかけてバーンと伸びていったじゃないですか。その状況にすごく似ていますね。だから他の国、特にドイツなんかは思いっきり手を伸ばしてますよね。最近、ドイツはロシアやイランと近づくから、米国から次々と因縁つけられているように見えますが、中東まで含むユーラシア共同体になることを米国が恐れてでしょうね。