総務省の有識者会議は11月7日、iPhone 7などスマホの最新機種を前世代の中古価格と同程度の額に「値上げ」するよう、端末購入補助をさらに少なくすることを求めるガイドラインをまとめました。これは、3月に出した「端末の実質0円販売」禁止のガイドラインを無視してきた携帯大手3社に対して、総務省がさらなる規制をかけた格好です。その携帯大手3社の中間決算が先日発表されましたが、この不景気のさなか全社とも増収増益となりました。これを受け「各社が暴利を貪っている姿が鮮明となっている」と厳しい見方をするのは、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さん。総務省のガイドラインの抜け道を探し、料金面でユーザーに負担を強いる形で利益を上げる大手3社の姿勢に疑問を呈しています。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクが大幅増益
こんにちは、佐藤昌司です。10月下旬から11月上旬にかけて、携帯大手3社の2016年4~9月中間決算が出揃いました。暴利を貪っている姿が鮮明となっています。
NTTドコモの売上高は2兆2,883億円(前年同期比3.3%増)、本業の儲けを示す営業利益は5,855億円(同26.6%増)となりました。KDDIの売上高は2兆3,015億円(同7.0%増)、営業利益は5,326億円(同18.0%増)となりました。ソフトバンクの売上高は4兆2,718億円(同0.2%減)、営業利益は6,539億円(同3.5%増)となっています。3社とも大幅な増益です。
国内の携帯電話サービスを主たる事業とする「通信事業」だけで見ると、NTTドコモの同期の売上高は1兆8,562億円(同2.8%増)、営業利益は5,247億円(同24.9%増)、KDDIの売上高は1兆7,198億円(同5.2%増)、営業利益は4,232億円(同20.4%増)、ソフトバンクの売上高は1兆5,403億円(同3.1%増)、営業利益は4,659億円(同9.4%増)となっています。3社とも大幅な増収増益です。携帯電話の販売で大儲けしているのがわかります。
携帯電話の販売は大手3社による事実上の寡占状態(少数の売り手に支配されている状態)となっています。寡占状態では、ある一定の値まで価格を釣り上げることで利益が最大化します。そのため、携帯電話の料金が高止まりしている問題が起きています。企業数が少ないため、各社暗黙の了解で、高価格帯で料金を決定することができます。