政府は先日、タワーマンション高層階の固定資産税を増税する方針を固めました。これまで一部富裕層が相続税の節税対策として積極的に購入していたタワマン高層階ですが、その「旨味」に国税庁によるメスが入れられるという構図です。しかし、無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんは、「階数によって固定資産税の負担割合が違うのは変」と疑問を呈しています。その論拠とは?
タワーマンションの高層階の価格が高いのは本当に眺望の問題?
こんにちは! 廣田信子です。
先週、マンション高層階の増税検討、2018年にも富裕層節税対策の方針を検討始めたとのニュースが。
過去記事「タワマン節税に待った?」に書いたことがようやく具体化するということのようです。タワマンの最上階層が売買価格に比べ圧倒的に税算定の評価額が低いことを利用して現金をタワマンに変えて相続するという、実質的相続税逃れが問題になっていて、それを是正するのに国が動き出そうとしているというのです。それは遅すぎたぐらいなのですが・・・。
そのためには相続税の算定に使う「固定資産税の評価額」を階層によって違う実勢の売買価格に合わせて見直す必要が出てくる訳です。しかし、「固定資産税の評価額」は、相続税以前に、そのまま区分所有者が毎年支払う固定資産税の額のベースになるものです。
マンションの固定資産の評価額は、まず一棟全体で評価して税額を出し、それを専有部分の床面積に応じて割り振っています。これまで、共用部分の共有持分割合は大多数が専有部分の床面積割合でしたので、権利を持っている割合で税金負担するというまあ、整合性があるものでした。
建物全体(専有部分をのぞく)を全区分所有者で共有しているのがマンションです。その持ち分割合が同じなのに部屋の階によって固定資産税の負担割合が違うっていうのは、やっぱり変ですよね。
とすると、持ち分割合も、税の負担割合に合わせるという考えが出てきます。標準管理規約の改正で急に出てきた「価値割合」は、これにつながると言われていました。
で、全体の評価額は変わらないので、高層階の税金が高くなった分、下層階の税金が低くなるということのようです。
じゃあ、土地の方はどうなんでしょう。土地の持分割合も、現状は、ほとんど専有部分の広さの割合です。ですから、部屋の広さが同じなら、持分も同じで、税金の額も同じだった訳です。
節税に利用できなくなったタワマン高層階、その価値はどうなる?