アメリカ人の友人と「日本」について話すと、非常に面白い刺激をもらいます。
彼らの多くは我が母国を褒めてくれ、素晴らしい国だと絶賛します。話してる相手が僕だから、ということを差し引いても、日本の良さを知ってくれている人は多い。
もちろん、彼らにとって不思議な日本の風習についての疑問も口にしてきます。
「どうして学生がみんなブランドもののバッグを持ってるんだ」「電話の向こうにお辞儀する人を見たぞ」「上司から勧められた酒を飲まないと出世に響くって本当か」etc.…
そのつど適当に答えるようにしていましたが、先日、ちょっと面白い質問をされました。
「車のバンパーについた傷まで修理するって本当か !? 」
今まで考えたこともなかったけれど。確かにそう言われれば不思議かもしれません。彼らにしてみると、驚くべきことなのでしょう。
本来、バンパーは車両本体の傷を防ぐためのモノ。車を守るためのモノなので、バンパー自体は傷つくことが前提でこの世に生み出されました。それを定期的に直すのは、世界でも日本人だけだそうです。彼いわく。
でも、それはモノを大切にするという日本人の美徳。やっぱり僕自身も車を修理に出す際、ついでとはいえ、傷ついたバンパーはお金を払ってでもキレイにしてもらいたい。アメリカに住んでいるからとはいえ、ボロボロのバンパーのまま運転する自分になりたくない。
そこはいくら説明しても、彼らに理解してもらえない点だと思います。確かに理屈からいえば、おかしい。合理的でないとも自覚する。
それでも、やっぱり僕は日本人だから、これからもバンパーは修理し続けるよ、と彼に言いました。
彼は、とりあえずは「なるほどな…」と理解してくれ(るフリをし)ました。
彼がわかってくれたことに、やっぱり話すことって大切なんだなぁ、異文化ギャップはコミュニケーションをすることで埋めることが出来るんだなぁとひとり満足していたところ、彼は真顔で続けて聞いてきました。
「….ってことは、雨の日の傘も、帰宅したらしずくをタオルで拭き取るのか?」
するかっ!
全然、理解してくれてねえぢゃん!
(2016年10月1日号掲載)
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『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋
著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる