Sさん「これがまた難しくてな、盗んだ自転車を乗っているヤツは周囲を警戒しながら走っているもんだから、警官の姿を見たら途中で横道へ移動したりと小賢しいわけよ」
吉田「そういう時は当然見逃さないんすよね?」
Sさん「怪しい自転車の運転手を発見したと無線使って応援寄越したり、もちろん俺らだけで追いかけたりもする」
吉田「で、捕まえられるもんなんですかね?」
Sさん「正直話すと……逃げられることが結構多いな。怪しい自転車乗りと俺ら判断なだけで追走するんで捕まえられなくても仕方がない。実際盗難自転車じゃなかったりする可能性もあるし、その辺は臨機応変に(苦笑)」
吉田「うーん、なんかハッキリしない回答な気もしてきましたが、結局のところ自転車泥棒はそう簡単に捕まえられないってことでいいんですよね?」
Sさん「場所によりけりだよ。俺が警らしてた管轄は全然捕まえられない……っていうよりも盗難自転車を乗っている運転手がいなかっただけだな。どこのエリアかは言えないけど、深夜の職質で1ヶ月に30件以上の盗難自転車を捕まえたって話を聞いた」
吉田「それって多いんですか? 少ないんですか?」
Sさん「多いね。1日1件自転車泥棒を捕まえている計算になるだろ。それを考えるとかなり多いはず。意外に繁華街での盗難よりも、住宅街への帰宅時に盗んだ自転車で帰るケースが多いから待ち伏せ職質ではなく、無灯火で走っている自転車を呼び止めようとしたら逃走。応援呼んで捕まえたら盗難自転車だったっていうことが何回かあったかな」
吉田「やっぱり夜の無灯火は徹底的にうるさく注意するもんなんですね。クルマ運転していると正面から走ってくる自転車が無灯火だと気づきにくいこともありますから、対自動車向けに無灯火の取り締まりが厳しいとか?」
Sさん「自転車乗ってる人たちは無灯火で何が悪いって感覚が多いんだけどさ、今吉田が言ったように自動車から発見されにくいわけね。特に夜の無灯火は。自転車のリアフェンダーに必ず装着しなきゃいけない反射板がない自転車も積極的に職質対応するし、自転車だからって気楽に運転している人には厳重注意することもあるんだよ。リアフェンダーの反射板がない自転車も結構あってさ、夜に後ろからクルマが接近した場合、気づかれなくて接触するケースも意外と多い」
吉田「そういう場合でもクルマのほうが一方的に悪くなって前方不注意になるんですよね?」
Sさん「ああ、そうだな。自転車の整備不良なのに誰もが納得行かないところであるが……」