1940年代の後半、ニワトリに抗生物質を与えると、成長が50%近く促進されることが分かって以来、ニワトリばかりでなく、ブタにもウシにも抗生物質入りの餌を与えることが常識になった。おそらく、抗生物質が腸内細菌叢を変えて、太りやすい体質に変えたのだろう。農家にとって太りやすい家畜はコストパフォーマンスがいいので大歓迎である。もちろん抗生物質は肉を食べた人にも摂取される。1950年代からアメリカの人々の肥満率が上昇を始めたのは、このことと関係があるとコリンは指摘する。
そのうち抗生物質は投与していませんという高級肉が売り出されて、金持ちは買えるが、貧乏人は買えずに、上流階層は痩身に、下流階層は肥満になるのかしら。もしかしたら、アメリカではすでにそうなっているのかもね。
image by: Shutterstock.com
『池田清彦のやせ我慢日記』より一部抜粋
著者/池田清彦(早稲田大学教授・生物学者)
このメルマガを読めば、マスメディアの報道のウラに潜む、世間のからくりがわかります。というわけでこのメルマガではさまざまな情報を発信して、楽しく生きるヒントを記していきたいと思っています。