実に8期連続という長期にわたる赤字を記録していメガネスーパーですが、ようやく9期ぶりに黒字に転換。その裏に1人の「プロ経営者」の存在がありました。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では長期赤字の原因と、そこから脱却できた「戦略の転換」について詳しく紹介しています。
戦略の転換
9期ぶりに黒字に転換したメガネチェーンを分析します。
● メガネスーパー(メガネチェーン店)
戦略ショートストーリー
眼のケアに関心のある中高年をターゲットに「プロ経営者 星崎尚彦氏」の手腕により見出された『眼の健康維持のためのサポートが充実』といった強みで差別化しています。
「人々を眼から元気にしたい。」というコンセプトのもと、オリジナルの世代別検査など顧客一人ひとりに寄り添うサービスで、地域の特にシニア層の支持を得ています。
■分析のポイント
「戦略の転換」
9期ぶりに黒字に転換したということは、当たり前ですが、8期という長い間、赤字だったということです。赤字の原因は何かというと、低価格を売りにしたJ!NSやZoffなどの低価格チェーンの後追い(安売り)をしたことが、主な原因のようです。
例えば、J!NSには、コアコンピタンスであるSPA事業モデルがあり、低価格を実現するために、様々な効率化を推進しているからこそ強みである「安さ」を実現できているわけです。
一方でメガネスーパーには、J!NSと同じようなコアコンピタンスは持っていませんので、短期的に低価格にはできても、長期的には、低価格を続けることは難しく、業績悪化に至ったということです。要するに、相手の得意な土俵で戦っても勝つのは難しいということです。
星崎社長は、この敗因をしっかりと把握したうえで「戦略の転換」を図っています。一言でいうと、J!NSなどの競合他社が捨てている部分(力を入れていない部分)で勝負するという方向性に舵をきっています。
具体的には、検査の充実や品質保証、専門コンサルタントの配置やマッサージなどの顧客一人ひとりに寄り添うサービスですね。これらは、J!NS、 Zoffなどが、それほど力を入れていない部分だと思われますので、差別化できている、相手の得意な土俵ではないといえるでしょう。
そして、戦略は、実行されてこそ意味のあるものになりますので、メガネスーパーでは社長直轄の店舗で、戦略を確実に実行させていることもポイントになります。星崎氏のすごいところは、ここです。経営者として、差別化を実現する戦略を立てることはもちろん、その戦略をしっかりと実行させることができるということは、まさにプロ経営者たるゆえんでしょう。
星崎氏の経営手法から学べることは多いですし、特に低価格を売りにしている競合企業との差別化という点では、参考になることも多いと思います。今後、どのような打ち手で、成長を実現していくのか、注目していきたいです。