携帯電話の大手3キャリアに対して10月7日、総務省から「行政指導」が入りました。各社が行っている、機種変更の実質ゼロ円サービスや、端末価格の優遇クーポンなどを「不適切だ」として問題視したようです。ケータイ/スマホ・ジャーナリストの石川温さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、こうした総務省の横ヤリについて「ユーザーにとって全くメリットのない方向に突き進んでいる」とし、「何でもかんでも端末補助に関する施策を敵視する姿勢は理解に苦しむ」と批判しています。
総務省が3キャリアに「不適正な端末販売補助」で行政指導
10月7日、総務省はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに対し、行政指導を行った。各社が展開していた端末購入補助のクーポンなどにメスが入った格好だ。
9月に新型iPhoneが発売され、各社ともにユーザーに対してクーポンなどを配布していたため、見事に狙い撃ちされたのだろう。しかし、中身を精査してみると、「果たして、行政指導は妥当なのか」と首をかしげたくなるものとなっている。
KDDIとソフトバンクは、機種変更もしくは新規契約者に対して、端末価格が優遇されるクーポンを配布していた。実際、筆者も、ソフトバンクのiPhoneがちょうど2年縛りが切れそうなタイミングだったため、機種変更が実質ゼロ円になる配布物が届いていた。
しかし、NTTドコモの場合、総務省の指摘は「クレジットカード加入者に対する特典として端末の購入代金を割り引くためのクーポンを送付する手法」を問題視している。NTTドコモに確認したところ、
指導を受けた、ケータイ購入ご優待券についてはdカードGOLD会員向けの施策であり、年会費での負担やカードご利用額に応じ、感謝の気持ちから還元しているものです。
これは、クレジットサービスの魅力度向上を目的として一定のお客様負担に基づいて発行しているものであり、電気通信ビジネスの一環で実施されているような一般的なクーポンとは性質が異なるものと考えており、ガイドラインの趣旨に鑑みても、その趣旨に反するようなものではないと考え、実施してまいりました。
しかし、今回のケータイ購入ご優待券が不適切な端末購入補助にあたるとの指導については真摯に受け止め、今後、適切な対応に努めてまいります。また、是正指導への対応については、別途、総務省に報告をおこなう予定です
とのことだった。
NTTドコモは、dカードの前身であるDCMXのころから、年間の決済額に応じて、端末を割り引くことのできるクーポンを配布している。dカードGOLD入会初年度は5000円分、2年目以降は年間100万円以上の利用で1万円分、年間200万円以上で2万円分の優待券が受け取れるという施策だ。
NTTドコモの反論のように、過去から実施しているものであり、新型iPhoneの販売とは直接関係ない。クレジットカードの優遇施策であり、電気通信ビジネスとは別の話だ。総務省の何でもかんでも端末補助に関する施策を敵視している姿勢は理解に苦しむ。