10月1日、念願だった人民元のSDR(特別引き出し権)入りを成就させた中国。「経済破綻間近」とも囁かれる国家の通貨を、名目上とは言え「国際通貨」とすることに危険はないのでしょうか。そして今後の世界経済の行方は? メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者・高城剛さんが「私見たっぷり」に占います。
10年前には考えられない中国の大躍進
今週は、10月1日付でIMF(国際通貨基金)が、加盟国189カ国に配分する仮想通貨「特別引き出し権(通称SDR)」に中国の通貨、人民元を加えることにつきまして、私見たっぷりにお話したいと思います。
現在、IMFのSDRは、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円で構成されている、世界最大規模の仮想通貨です。SDRは、国際交流動性の不足に備え、金や米ドルの資産を補完する目的で1969年に創出されまして、簡単に言えばIMFによる「準備金」ということになります。
基本的に出資額に応じて加盟国に配分され、国際収支の悪化などで外貨準備不足をきたした国は、自分の国に配分されたSDRを渡すことによって、渡した相手加盟国から外貨を引き出すことが可能。当初は金(ゴールド)を基準としてましたが、1974年のニクソンショック以降、主要16カ国の通貨の加重平均による「バスケット方式」に改められ、1981年から米ドル、旧西ドイツマルク、仏フラン、円、英ポンドの5通貨を内容とする「バスケット方式」に変更されました。そして、リーマンショック以降、米ドルに代わる基軸通貨構想として浮上してきたのが、このSDRで、「通貨バスケット方式基軸通貨」の可能性が討議されていました。
5年後の「バスケット評価手法見直し」で世界経済はどう変わる?