私の目に止まった記事
●When You Change the World and No One Notices
「世の中を変えるほどの素晴らしい発明をしても、しばらくの間は誰もその重要性に気がつかない」という記事ですが、色々と考えされらる記事です。
ライト兄弟が、世界初の飛行に成功した時にも、しばらくの間はメディアは取り上げず、その後も、多くの人たちが「人間が空を飛ぶなど不可能」と言い続けていたそうです。電話も、発明された当初は、「こんなもの役に立たない」と言われていたそうです。
私が開発に関わった GUI (Graphics User Interface)も、発明をしたのは Xerox PARC の研究者たちでしたが、それを一般の人たちの手に届く形にしたのが Apple で、人類になくてはならないものにまでしたのが Microsoft でした。
今では、当たり前になった「写真共有型SNS」を世界で最初にスマートフォン向けに提供したのは私でしたが(Big Canvas PhotoShare)、世界に普及させたのは Instagram でした。しかし、PhotoShare のアイデアのベースは、日本の J-Phone が世界初の「カメラ付きケータイ」を発売した時に提供していた写真のストレージ・サービスでした。
J-Phone の担当者と話した時に、数多くのサービスの中で、最も解約率の低いサービスが写真のストレージ・サービスだったと聞き、それならば、それをさらに共有することを可能にしたサービスを作ったら普及するに違いないと思ったのです。
去年オープンソース化した Swipe も、私自身は「進化の袋小路」にはまってしまった EPUB に変わる画期的な技術だと確信していますが、これを普及させるのは簡単ではないし、時間もかかると認識しています。10月にはオーサリング環境をリリースする予定なので、少々お待ちください。
image by: Shutterstock
著者/中島聡(ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア)
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。