「もはや中国との軍事衝突は避けられない所まで来ている」などといった識者の発言が報道に乗るなど、マスコミにより一触即発ムードが醸成されているとも思える日中関係ですが、はたして真実はどこにあるのでしょうか。メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では、中国側は日中関係を正常な軌道に戻すことを望んでおり、両国関係は戦争ではなく友好に向かっていると分析しています。
日中関係はどうしたら「正常化」するのか?─「海空連絡メカニズム」運用開始が1つの鍵
谷内正太郎=国家安保局長が25日北京で、李克強首相と30分、副首相級の楊潔チ(竹冠に虎)国務委員と昼食を挟んで3時間半、会談して、日中関係の正常化に向けてお互いに努力することで大筋一致したのは、グッド・ニュースである。これにより、9月4日から中国・杭州で開かれるG20での安倍晋三首相と習近平国家主席の1年4カ月ぶりの首脳会談の開催はほぼ確実となった。
席上、李首相は「来年は日中国交正常化40周年、再来年は日中平和条約40周年であり、この機会を捉えて、新旧の問題を適切に処理して、両国関係を正常な発展の軌道に戻すよう努力すべきだ」と前向きな姿勢を示した。
この直前には、日中韓外相会談のため、23日に就任以来初めて来日した中国の王毅外相が岸田文雄外相主催の晩餐会に出席、翌日には3カ国外相会談に出席したほか、韓国外相と共に安倍首相を表敬訪問し、二階俊博=自民党幹事長と会談し、岸田とも公式会談するなど、精力的に動き回った。前駐日大使である王は岸田との会談の後、「小さい問題が残っているが、日中双方に前向きな意志があれば、すぐに合意できることもある」として、懸案となってきた東シナ海などでの不測の事故や軍事衝突を回避するための「海中連絡メカニズム」を挙げ、「高級事務レベル協議を開いた上で早期に運用開始したい」と述べた。
これを受けて、25日の谷内・楊会談では谷内は防衛省幹部を同席させて、海空連絡メカニズムの早期運用開始への段取りを具体的に協議した模様である。