尖閣以外にも。日本が中国に奪われてはいけない重要エリアとは?

 

ルトワックの「ロシア観」

全日本国民必読の書『中国4.0~暴発する中華帝国』(エドワード・ルトワック)。これは、世界最高の戦略家が、「日本人だけのために書いた本」です。それを、たったの「780円+税」で読めるのは、ありえないこと。

第5章は、「中国軍が尖閣に上陸したら」です。この章には、まさに「私たちが今必要としていることの答え」が書かれています。ルトワックさんは、日本がやるべき二つのことについて書いている。一つはロシアについて。

最初の課題は、ロシアのシベリア開発をどこまで援助できるかだ。これにも中国が関わっている。中国がシベリアの資源を獲得してしまうと、自己完結型の圧倒的な支配勢力となってしまう。シベリアを当てにできない中国は、船を使って天然資源を輸入する必要があるため、海外に依存した状態となる。この場合、必ず「アメリカの海」を通過しなければならない。
(p144)

ところがロシアを吸収できれば、中国はその弱点を克服できる。これによってわざわざ「海洋パワー」になる必要はなくなるからだ。この意味で、シベリアを中国の手に渡さないことは、日本にとって決定的に重要なのである。
(p145)

この部分、説明が必要ですね。日本は、なぜアメリカとの開戦を決意したのでしょうか? そう、「ABCD包囲網で石油が入ってこなくなったからです。エネルギーがなくなれば、戦争もできず、経済活動もできません。

今の中国を見てみましょう。この国は、日本と同じく、エネルギーを中東に依存している。要は、中東からタンカーで運んでいる。ところが、その海路はアメリカが支配している。もし、なにかのきっかけで米中対立が深刻になったとしましょう。その時、アメリカは、中国が「エネルギーを買えない状態」をつくりだすことができる。つまり、「ABCD包囲網」時の日本と同じ状況に追いこむことができる。そうなると中国は、「ジ・エンド」です。

ところが、中国がロシアから石油・天然ガスを無尽蔵に買うことができるようになれば? いくらアメリカでも、これを止めることはできません。これがルトワックさんのいう、「自己完結型の圧倒的支配勢力」の意味です。だから、日本は、シベリア開発に入り込むことで、「中ロを分裂させよ!」といっているのです。

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