いつ誰が罹ってもおかしくない「うつ病」ですが、ここに来て原因がストレスだけではない可能性が出てきたようです。無料メルマガ『Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報』では、米マサチューセッツ総合病院が発表した論文を取り上げ、うつ病の発症に「遺伝的変異」が関係している可能性を示唆しています。
うつ病は遺伝する
近年、うつ病に罹る人が非常に増えています。ストレスの多い社会が原因だと考えられていますが、それ以外に遺伝子の変異も関係していることが確認されたというニュースです。
これは、米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)のRoy Perlis氏らが、米国科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)に報告した論文です。
- 論文タイトル:
Identification of 15 genetic loci associated with risk of major depression in individuals of European descent - 科学誌名:Nature Genetics(2016)doi:10.1038/ng.3623 Published online 01 August 2016
- 著者:Craig L Hyde 他
大うつ病性障害MDDは、うつ病として知られる精神疾患の一つで、今までも原因は遺伝要因と環境要因との複合と考えられていました。
しかし、遺伝的証拠が明らかにされていたのはアジア人だけだったため、その考えが広く一般的なものであるかどうかははっきりしていませんでした。
そこで研究チームは、欧州系の人45万人以上の遺伝子プロファイルを用いて研究を行いました。なお、このうち約12万1,000人には、うつ病の既往歴があったそうです。
その結果、MDDと関連性のある17種類の遺伝的変異が発見されたとの事です。そして今回の発見によって、「うつ病は遺伝的な脳の疾患」との認識が広まり、より良い治療法の開発が進むと考えられています。
image by: Shutterstock