万が一、交通事故に遭ってしまったとしても、加害者が任意保険に入っていたから一安心―とはいかないようです。信じられないかもしれませんが、どんな一流の保険会社でも「低い賠償金額を提示してくることが多い」のだそうです。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、知らないと損する保険金のシステムと示談交渉における戦い方について紹介しています。
交通事故の被害に遭ったら
こんにちは。
弁護士の谷原誠です。
今回は、交通事故の被害に遭った時のことをお話します。
交通事故の被害に遭うと、加害者が任意保険に入っている場合には、保険会社が出てきて、治療費や休業補償などを払ってくれます。そして、怪我の場合は治療が終了して後遺障害等級が認定された後、死亡事故の場合は49日が終わった後に、慰謝料などの示談交渉が始まります。
「示談交渉」というくらいですから、保険会社が始めに提示してくる金額では交渉がまとまらないことが多い、ということですね。つまり、「低い金額を提示してくる」ということを意味しています。
一流企業の保険会社が、実は適正な金額を提示してくることが少ない、ということをご存じでしょうか?これは、私の事務所が、毎年1,000件以上の交通事故の被害者からのご相談を受けている中でわかったことです。
なぜ、このようなことになるのか? その秘密は、交通事故における3つの基準にあります。3つの基準というのは、
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 裁判基準
の3つです。
自賠責基準というのは、強制保険である自賠責保険から支払われるお金の基準のことです。任意保険基準というのは、各任意保険会社が、「今回、これが限界です」という基準のことです。事案によって異なります。
裁判基準というのは、これまでの裁判の積み重ねによって決まってきた、裁判をすると、だいたいこのくらいの金額になる、という基準のことです。
金額の大きさは、大きい方から、
裁判基準>任意保険基準>自賠責基準
という順になります。つまり、任意保険会社は、適正な基準である裁判基準と、法律で当然に支払われる自賠責基準の間の金額を提示してくる、ということです。
裁判をすると、本来受け取れる裁判基準による金額を受け取ることができます。しかし、保険会社は、適正な金額を提示してこないことが多いです。