「女性専用車両」に思う日米のジェンダー論
噂では聞いていたけれど。
先日の日本出張時、初めて見ました「女性専用車両」。( JRホーム床に書かれている表示を思わず写メして、NYの編集部に送っちゃいました。“ホントにあったよ!” のテキストとともに )
在米期間が15年を超えた僕からすると、実際に目の当たりにしたら、やはりそれなりに衝撃でした。(アメリカ人の友人に話しても、そんな車両が存在すること自体ジョークと思われて、結局信じてもらえなかったし)
もちろんこの国ではありえません。
セクハラの対象としてMTA(NY州交通局)が男性客から訴えられる可能性もあり得ます。
訴えられないまでも、男性が乗れない(もしくは、乗りづらい)というだけで男性乗客からのクレームが殺到するはずです。
僕が渡米する以前の日本での “セクハラ” といえばどうしても被害者イコール女性のイメージがありましたが( 女性が加害者の場合は “逆セクハラ” とあえて “逆” という字をくっつけてたしね。その時点でただの “セクハラ” はまだまだ女性が被害者だという認識なのだと思います)
「Sexual Harassment」の対象は、もちろん女性にも適用。
実際、この国では女性側が訴えるケースは統計によると全体の50%なのだとか。
約半分です。
同性間での案件も少なくないこの国では、残りの50%を、女性から男性へのセクハラ、男性から男性へのセクハラ、女性から女性へのセクハラで分け合っている計算になります。
それにしても「女性専用車両」という現象をスンナリ受け入れる日本人男性は、寛容なのか、それとも無頓着なのか。
あるいはアメリカ人男性が神経質すぎるのか、それとも意識が高いのか。
車両ひとつで両国のジェンダー論を考えた次第です。
僕はというと初めて見るその光景に、一緒にいた日本の知人を質問攻めにしてしまいました。
「駆け込み乗車で知らずに乗っちゃっても、逮捕されるの?」( “ 無断女性車両乗車罪 ” で前科3犯、とかあるのかな)
「朝の通勤ラッシュ時に、普通車両がギュウギュウで、女性専用車両がガラガラだったりするの?」(年配の男性詰め合わせ車両の隣で、女性は優雅に紅茶飲みながら雑誌読んでたり? 足組み替えながら)
「痴漢対策用のはずなのに、どう考えてもその心配をする必要がなさそうな方まで乗ってたのはどうして?」( その場合はJRの駅員さんが例の独特のイントネーションで “え~ お客様はぁ~ 普通車両にお乗りくださいませぇ~ ” って連れて行くの?)。 ←それこそがセクハラだ、ともちろん注意されました。
色々聞いてみると、時間帯によって指定されたり、事故的に乗った場合もジロジロ見られるだけで、特に罰せられることはないのだとか。
そのあたりは適度に運営しているとのことで、ちょっと安心したり、ちょっと寂しかったり。
どちらにしろ「女性専用車両」を今どき物珍し顔で凝視し、遂に目撃した感動まで手伝い、ニヤニヤ写メまで撮っていた僕こそ、まるまる「不審者」だよ!
image by: Wikipedia
記事提供:ニューヨークビズ
『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』
著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」「ニューヨーク ビズ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事「ガチ!」を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
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