米国公認会計士でフリー・キャピタリストの午堂登紀雄さんが様々なビジネステクニックや頭の使い方を紹介する、メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』。今回は「自分を一番苦しめているのは自分」というお話です。あなたが劣等感を感じたり、嫉妬したりしていることのほとんどは、単なる「思い込み」の可能性も。思考のクセを直して楽に生きてみるのも良いかもしれません。
自分を縛る「べき」論を捨てていく
私たちが生きづらいと感じるのは、実は自分の中の思い込みだということがわかります。
だから、心豊かに生きるには、あるいは自己をしっかり持って他人に揺さぶられない生き方をするには、そういった思い込みに気づき、一つ一つ脱ぎ捨てていくことです。
世間体はあなたを幸せにしない
大学に進学してこそ1人前、結婚して家族を持ってこそ1人前、家を持ってこそ1人前。
と言われることがあります。
そして、そうではない状態を指して、「世間体が気になる」「近所から何を言われるかわかったもんじゃない」「こんなことがバレたら恥ずかしい」と感じるとしたら、そうした思考パターンは、あなたを窮屈に、そして不幸にします。
そもそも世間体って、いったい誰なのか?その世間体は、あなたに仕事や報酬をくれるのか?旅行に連れて行ってくれるのか?食事をごちそうしてくれるのか?
自分とは直接つながりのない他人に気を使って、何かメリットがあるのか?あいさつくらいしかしない隣近所の人に気を使って、何かメリットがあるのか?
つまり世間体とは、実際には存在しない「他人からこう思われたらどうしよう」という自分の中にある恐怖感でしかありません。
もちろん著名人であれば、テレビや週刊誌で叩かれれば仕事が減るといったデメリットがあります。
一般人でも匿名で投稿できるSNSに不適切写真をアップすれば、調べ上げられてさらし者にされて、学校や会社にバレで辞めさせられるということもあります。
しかし、私たちの通常の生活の中では、世間体を気にしなかったからといって、何か困ることが起きるわけではありません。
世間体を気にしたからといって、何かうれしいことが起きるわけでもありません。
であれば、気にしないのがもっともラクな生き方だと言えるでしょう。
嫌われるのが本当の人間である
いい人は「人から嫌われるのが死ぬほど怖い」「みんなから好かれないと自分の価値はない」という信念というか思い込みを持っている傾向があります。
確かに自分にメリットがある人には嫌われないようにしなければならないかもしれませんが、周囲の人全員である必要はありません。
それに現実には、どんなに素晴らしい人、素敵な人だと思っても、万人に好かれる人は存在しないのです。
たとえば著名人はなぜ著名人たりうるかというと、個性を表現しているからです。
たとえば元ライブドア社長の堀江貴文氏、経済評論家の勝間和代氏なども、「彼ららしい」発言をしているからこそファンが付く。
しかし一方で、彼らの発言を嫌う人もいて、それがアンチになる。
あるいは同じ発言をしても、人よって感じ方は異なります。
たとえば「あ~、今日も暑いね~」と言ったとき、「本当だね~」と共感を示してくれる人もいれば、「余計暑くなるから言わないでくれる?」と不快感を示す人もいる。
寒い国の出身者であれば「死んじゃうよ」と言うかもしれないし、南国出身者であれば、「え?そうでもないよ」と言うかもしれない。
異性との付き合い方も同じく、「どこか行きたいところはある?何が食べたい?」という男性を優しい、自分のことを思いやってくれていると感じる女性もいれば、物足りない、もっとぐいぐい引っ張ってほしいと感じる女性もいます。そしてそれは時と場合によっても印象は変わります。
これで誰からも嫌われないようにするのがいかに困難か、いや不可能かがわかります。
人は結局、「この色が好き」「この色は嫌い」というのと同じレベルで他人を評価しますから、色があれば好きな人も嫌いな人も現れるということです。
逆に周りに合わせて自分の主張をしないということは、無色透明ですから、嫌われない代わりに好かれもしない、それどころか存在を認めてもらえずスルーされるだけ。
だから、自分を嫌いな人がいるというのは、自分の意志で生きているという証拠なのです。