いじめは入学当初、クラスでの顔合わせから始まっていた。
A君は、小学生の時から人を笑わせるのが得意で、すぐにクラスに馴染もうと冗談を言ったり、お笑い芸人のモノマネをするなどしていたが、ツッコミと称して、相当強く殴ってきたのが、部屋に来ている少年のうちの1人であった。
わかりやすく彼をB君としよう。B君は中1にしては体格が良く、暴力的行為が多い人物であり、その仲間が部屋に来ていた他2人である。
B君は何かにつけ、A君を殴ったり、叩いたりした。
当初は冗談のように振舞っていたA君だったが、あまりの痛さに、ツッコミが痛いと真剣に抗議をした。
しかし、余計に行為はひどくなり、ズボンを無理やり下ろしたり、汚水をかけたり、お弁当を捨てたりするようになった。
A君は、夏休みが来たら一息つける。母親に迷惑をかけないようにしようと決め、黙って耐え続けた。
しかし、夏休み前にLINEで繋がることになってしまい、また、小学校時代からの友人が、いじめを知らずに仲が良いと勘違いしてB君に住所などを教えてしまった。
そして、母子家庭であると知ると、家に遊びに行かせろと迫ってきた。居宅はアパートの1階である。
初めは居留守を使ったが、それは通用しなかった。
部屋に上がられるなり、いきなり脇腹を殴られ、テーブルに置いてあった1000円札を取り上げられてしまった。
洗濯途中であった姉と母の下着を悪戯されたのもこの時からであった。
私は一連の被害を警察に届けるべきだと話したが、関東圏内といえども、地方の住宅地であり、その後の嫌がらせも考慮して、保護者間で話し合うという方針は変わらなかった。